(20110701)今週の「華と修羅」 最終話 唐房家の当主

扉絵キャッチコピー
「ここが、華やぐ修羅の道行きの果て――。」

柱文
「谷へと落ちた新を迎える景色とは…?」
「ご愛読ありがとうございました!谷本和弘・井上紀良両先生の次回作にご期待ください!!」

記憶を失い、幼児退行していた(演技をしてた)ジャガーノート百合子。しかし慎太郎に見破られた百合子は、新(新便器)と共に崖下へまさかのダイブ!!果たして2人の運命は…!?


最終回の冒頭シーンは、新便器が病院のベッドで目を覚ますところから始まります。良かった!新便器生きてた!!


おや?そういえば身体がなんか動かないな。それに真智子たんがなんか泣いてるし…。なんなんすかこれ?
やがて「新様…あなたは…あなたはもう…」と真智子たんの流す涙が、同情から見せる涙だとわかって、新便器は理解します。

新「そうか…私の体はもう…元には戻らぬのだな?」


なん…だと…?


百合子とともに崖から転落し、命は取り留めたものの、その際に脊髄を損傷。手足が動かせず、寝たきりの状態になってしまったのです。
なんてこった。あともう少しで唐房家次期当主の座が手に出来たというのに。新便器はさぞや無念なことでしょう。
嗚呼、百合子なんかを助けたばっかりに…。


新「それで貴様…何故私の元を去らぬ?
今や私に貴様を拘束する力は無くなった
ここを出た瞬間に自由となれるのだぞ」


いずれにせよこんな身体になった以上、次期当主どころか、真智子たんにお仕置をすることも出来ません。ならばいっそ真智子たんをここで解放してやり、良い男を見つけて幸せとやらを掴むと良い…。
これもツンデレじみた新便器なりの優しさなのか。しかし真智子たんは新便器の元を離れようとはしません。


真智子「新様は…わたくしが去ることをお望みですか…?
何故、一生世話をしろと申しつけてくださらないのです!?
何故今になって幸せになれなぞと!!」


まあ、ここで便器兄さんが「お前さえよければ生涯の肉便器(ry」なんてプロポーズされても、別の意味で困っちゃうでしょうけど(′・ω・`)

真智子「ここにきてそのような…ずるいです…
それではとてもお側を離れられません…」


真智子たんの強い決意。それを感じ取った新便器の目からは熱く光るものが…。

新「ふん…真智子よ…汗を拭いてくれ」
真智子「はい…」






こ…これは汗なんだからね!別に感動して涙を流したとか、そういうわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよね!


こうですね。わかります。


なんだかこの当たりのシーンは、ちょっとグッと来るものがありますね。というか完全に真智子たんがヒロインしてる!

やっぱりこの漫画のヒロインは真智子たんやったんや!百合子なんかいらんかったんや!!


まあ、自分を刺し殺そうとしたヤツと結ばれるとか、なんだか偉いミラクルな話ですが。



真智子たんもヒロインしてて非常に良いのですが、やはりここは新便器のリアクションが最高にいい味を出しています。
慰めの言葉を「やめろ、慰めなぞ求めておらん!!」と突っぱねたかと思いきや、






明らかに泣いてるのが分かってるのに、あえて目元を描写せず「汗を拭いてくれ」と真智子たんに頼む…。絶妙なツンデレ加減。このギャップがたまりませんね。このあたりはさすが肉便器のご先祖様といった所でしょうか。なんだか胸が熱くなってきやがった。


まあでも新便器ほどの男なら、気迫や根性でこの状況を克服し、車椅子生活が出来るぐらいまで回復しちゃいそうな気も。



さて…一方の百合子ですが、こっちも生きてました。枝に引っかかって衝撃が和らいだためか、新便器よりも軽症ですんだようです。嗚呼、ますます新便器が不憫すぎる。


もう演技してたのはバレバレになったので、以前の口調で慎太郎と会話をする百合子。しかし変わり果てた今の自分が、慎太郎の愛を受け止めることは出来ないと、拒否する姿勢は以前のまま。


百合子「もう慎太郎様が愛した百合子は欠片も無い、そう申し上げているのです!
何故わたくしが…何故わたくしだけがこのような苦痛を味わうのかといつも心の中で毒づいております
いつもいつもいつもです!
わたくしは…そんな醜いわたくしが大嫌いなのです!」






うわー。もはや完全に悲劇のヒロインぶってるなー。
なんかコイツ、ウザいぞ。とたんにウザく見えてきたぞ。

というか、火傷を負ったのは、とっとと逃げなかったのと、そそる顔の女中の娘を助けるために無茶したからであって、ある意味自業自得なんですけどね。
あと、いかなる理由があろうとも、命の恩人を巻き添えにするのも、どうなのよ。


ところがそんな程度じゃ全く揺るがないのが、慎太郎の百合子への愛情。どんな事があろうと漏れは百合子を娶るYO!覆面気にしてるんなら取っちゃいなYO!その愛情はどこまでも不変です。


それでも百合子は「覆面取って見つめ合ったら、慎太郎の瞳に私の醜いツラが写るじゃん!それがイヤー!」と拒否。さあ、どう出る慎太郎。





       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、 
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_ 
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z, 
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡 
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡 
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了   なに?百合子が覆面を取ろうとしない? 
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.) 
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)  それは無理矢理引き離そうとするからだよ 
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~ 
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ    逆に考えるんだ 
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:} 
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ   「瞳を閉じちゃってもいいさ」と 
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´ 
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |       考えるんだ 
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ 
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_ 
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、 
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__ 
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_ 
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.| 
          `、 \ /ヽLf___ハ/  { 
              ′ / ! ヽ

なんと慎太郎は、リンゴを切るためのフルーツナイフで、己の目元を一刀両断!
盲目になる事で、自分の瞳に百合子のツラが写らない様にしたのです!
なんという逆転の発想!そしてなんという自己犠牲!!



慎太郎の自己犠牲をも厭わない行動に心打たれた百合子は、ついに覆面を取る決意を…!







…って、あれ?なんかあんまり顔に火傷してなくね?



あ、そうか。コレは慎太郎のイメージ映像であり、実際はもっと酷いツラになっているんだけど、慎太郎のgrks妄想というか、慎太郎のビジョン(心眼)ではこのように美しく見えているって事なのか。なるほどなるほど。


…って演出かと最初は思っていたのですが、ラストのページでは、慎太郎と百合子の姿を描いた肖像画(肖像写真)がありまして…。





なんてこった!やっぱり顔の部分はあんまり焼けてないじゃないか!

背中が随分ひどい火傷だったので、そんなに酷い顔になってるのかと思いきや…。顔については隅っこがちょっと焼けてるだけ。


百合子はあの程度の火傷顔でギャーギャー騒いでたのか…。この火傷のせいで己の瞳を犠牲にしたのかと思うと、なんだか慎太郎がやり切れんなあ。
まあ本人が幸せだと思っているのなら、それでいいんでしょうけど…うーん。腑に落ちねー。

慎太郎「これからは私の目となってくれますね…?
私の光となってくれますね…?」
百合子「離れません!どんな中傷や嘲笑があろうと!わたくしはあなたからもう離れない!」

受けるのは良いんですが…せめて慎太郎が盲目になる前に言ってやれよ、それは!



こうして、すったもんだ色々有った唐房家のお家騒動は終結し、末弟の慎太郎が唐房家次期当主になりました。めでたしめでたし、という所で、この壮大な大正ゴシックサーガコピーギャグ漫画は、ついに終焉を迎えるのでした。




なんというか、終盤は百合子が全部持ってっちゃったなあ。推薦状争いとは何だったのか。寅爺(´・ω・) カワイソス。


いずれにせよ百合子のせいで、新便器は巻き添え食らって谷に転落して寝たきりの体になり、慎太郎は盲目になってしまったわけです。こいつのせいで周りが次々と傷ついていくって感じがします。
バハムートラグーン」のヨヨを超えるほどの、凄まじい糞ヒロインじゃないのか、コレ(汗)



何かこういう末路を迎えると、華族では無くなり前科持ちになったとはいえ、五体満足で生き延びる事の出来た美彦(ほっこり兄さん)が、1番の勝ち組なんじゃね?って思えてきたよ。最終回じゃ全く出番なかったけど(′・ω・`) 

出番が無かったといえば、清音(ババア)はどうなったのかな。慎太郎が当主になるわ、大事な息子は寝たきりになるわで、踏んだりけったり。これはショック死しても不思議じゃないレベルなんですが…。大丈夫か?


まあ再来週(YJ33号)には、慎太郎の襲爵を描く特別編が掲載されるみたいなので、それに期待しましょうかね。


しかし井上先生の巻末コメントが気になるなあ。「30年間、ありがとうございました。」って書いてあるんですが、バイバイジャンプして他の雑誌で描くのかな?


というわけで、連載は終わっても、2週間後に特別編の感想を書くと思うので、はなしゅらレビューはまだまだ続きます。もう少しのお付き合いを…。