（20110624）今週の「華と修羅」　第四十九話　手巾（ハンカチ）

扉絵キャッチコピー
「偽らざる想いは、その清さ故に応える術を失う。」

柱文
「苦悩を現すかのように、傷跡は深く…。」
「まさかの投身…！！」

記憶を失い、幼児退行したかのようなジャガーノート百合子。その百合子と会う引き換えに、唐房家次期当主争いから辞退をした慎太郎。こんな２人の生活は続きますが、ジャガーノート百合子は一向に慎太郎に懐こうとはしません。
もっとも、実は百合子は記憶喪失だったフリをしてるだけで、慎太郎を拒絶する為にわざとこんな演技をしているんですが、慎太郎はそんな事実を知りません。

そんなある日。久しぶりに新(新便器)と真智子たんが山小屋を訪れます。ジャガーノート百合子は一目散に、懐いている新便器の元に駆け寄るのでした。

しかし先週の時点で、「マチコ！」「アラタ！」とのたまってた一連の言動が全て演技だとわかった今、ジャガーノート百合子が慎太郎に対して｢イヤ！アイツ　イヤ！｣などと新便器に必死にアピールしてる光景が、白々しく見えて仕方ありません。

凄いや百合子さん、マジ名演技だわ。

そんなジャガーノート百合子は、一刻も早く慎太郎から離れたいのか、山を指差して、あの場所に連れてって！と新便器におねだりをしています。
まあそれは良いんですけど、問題はその頼みかた。

仮にも華族のお嬢様だったお人が「イク！」「イク！」と連呼するとか、まったく、どこのエロ漫画だよｗｗｗｗ

凄いや百合子さん、マジ名演技だわ。

コレに対し、ひみつ道具をねだるのび太に根負けしたドラえもんのごとく「しょうがないなあ」と、ジャガーノート百合子を山に連れて行く新便器。

と、ここで慎太郎は、ジャガーノート百合子が一枚のボロい布っきれが落としていったのを発見します。それは以前慎太郎が百合子に渡したハンカチでした。

そういえば第２０話（単行本だと第３巻参照）で、慎太郎が班長とバトルした後、子供達から貰ったカルピス（初恋の味）を飲んでたシーンで、百合子が｢（このハンカチは）わたくしの宝物にしておりますの｣とか言ってますね。
なるほど、これが伏線だったんんですね。すっかり忘れてた(′･ω･`)

そんな慎太郎との思い出がいっぱい詰まった、そんなハンカチを、今でも肌身離さず大事に持っているという事は…もしや…？

慎太郎｢真智子よ…私の問いに正直に答えてほしい
百合子は…あの百合子は、本当に記憶を失っておるのか？｣
真智子｢わたくしからは、それは…どうかお許しくださいまし｣

って、事実上のＹＥＳ宣言ですやん(′･ω･`)

真智子たんは百合子の記憶が残ってる事に以前から感づいてたようですが、新便器がいる前じゃ慎太郎に真実を告げられなかったんでしょうねえ…と好意的に解釈しておきましょうか。ここは。

ともかく、百合子の記憶が残ってると知った慎太郎は、血相を変えて二人を追っかけます。

新便器は｢まーたあのバカが何かわめいてるよ」と、全く取り合おうとしないのですが、追いつめられたジャガーノート百合子は思わず｢慎太郎"様"…｣とポツリ。

百合子（慎太郎様…この半年あなたを忘れた事なぞ一瞬とてありません
どうしても忘れられなくて、そう、恨みさえしました…
全てを諦めて、全てを新様に委ねた…わかりますか
わたくしはもうあなたに愛される資格がないのです
そして今また私の存在が、あなたの将来を塞ごうとしている…
こんなにも醜い体、そして心を持ってしまったわたくしのために…）

追いつめられて観念したのか、それとも何かを決意したのか、次の瞬間、ジャガーノート百合子は崖下へまさかのダイブ！！

百合子(御機嫌よう、来世であなたをお探しします）

実はこのシーン、最初読んだときは、自分の現在の境遇を呪った百合子が、てっきり「１人で」崖から身投げしたのだとばっかり思ってたんですよ。ベタですけど、有りがちじゃないですか。
それがまさか…。

両雄、舞う！！

いやいや百合子さん、何で新便器まで道連れにしてるんすかｗｗｗｗ　

これには本気でビックリしました。
このまま新便器が死んじゃったら、次期当主は自動的に残った慎太郎になっちゃいますよね、コレって。なんという一発大逆転劇！！

あまりにも物凄い超展開に、今週号を読んだ読者も、道連れにされた新便器も、２０１１年サッカーアジアカップ・日本対シリア戦の糞ジャッジを目にした、解説の松木安太郎氏のごとく

｢なんなんすかこれ？」と連呼していたに違いありません。

しかも今週を読み返した限りだと、どうやら真智子たんは百合子の記憶が残ってる事に感づいてたようですが、新便器はマジで知らなかったようですね。
新便器の詰めの甘さが、最後の最後で露呈するとは…。
嗚呼、あの時火事の現場から百合子を救出しちゃったばっかりに…。新便器さんマジでうかつ過ぎる。

…と最初は思っていたのですが、ここで、恐ろしい仮定を思いついてしまいました。
今週の展開は、慎太郎と百合子が仕組んだ、意図的なシナリオ通りだったのではないか、と。

●実は慎太郎は百合子の記憶があることを既に知ってるどころか、２人で意思疎通がしっかり出来る状態であった。

●慎太郎はジャガーノート百合子に「今度新便器がやって来たら、崖に連れてって、そこからアイツ巻き込んで崖からダイブしろ」とか、命令出していた。
（新便器が氷野さんに「遺書を書いて自害してくれ」と命令したのと同じパターンですね）

●そしてジャガーノート百合子は意図的にハンカチを落とし、慎太郎が後を追う口実を作り、慎太郎はシナリオ道りに２人の後を追う(真智子たんに証言者となってもらう為)

●そして２人に追いついた慎太郎がアイコンタクトを送り、それを受け取ったジャガーノート百合子が、新便器を道連れに崖からダイブ！！

任　務　完　了　（Mission Complete！！）

来週の冒頭は、慎太郎が突然デスノートの夜神月みたいな邪悪な表情で

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などと、ニタリとほくそ笑む描写から始まっても不思議じゃありません。
嗚呼、華族とは何と恐ろしい存在なのか…。

そして百合子は百合子で、新便器を普通に巻き添えにしてるあたり、なかなかの非情さです。
過去には「ズキュゥゥゥン」とファーストキスを奪われたり、慎太郎との恋仲を引き裂かれかけたりなど、新便器と色々有ったとは言え、燃え盛る炎から自分を救出してくれた命の恩人を、このタイミングで容赦なく道連れにするとか、百合子さんマジで鬼畜過ぎます！！

しかも、今週の新便器なんて｢慎太郎と仲良くしてやってくれ｣と百合子を諭したりと、完全にいい人モードだったのに…。

…そういえば、先週の｢タフ｣で、尊鷹さんがこんな事言ってましたっけ。

「マスクを付けてるほうが残酷になれるんです」