ある晩、密かに惚れている相川さんからの電話を受けている、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿・根岸。その電話の内容は、「アサトさんから遊園地に行こうって誘われたけど、行っていいと思う?」という、根岸にとって大変ショッキングなものでした。
アサトさんと言えば、オシャレピラミッドの頂点に君臨する「東京オシャレ四天王」の一人。根岸の渾身の一曲「甘い恋人」に対して「お遊戯的な事なら外でやってくんない?」とこき下ろし、根岸にとっては己の音楽を否定した苦い思い出の残る男です。
なんと言っていいのか分からなかった根岸は「別にいいんじゃない」とアドバイス。しかし電話を切ったあと、相川さんが他の男とデートなんていやだいやだあ!!とテンパってしまった根岸は、次の日、相川さんとアサトさんのデートの様子をこっそりストーキングするのでした。奇しくもこの日の夜はDMCのライブのある日。それでもどうしても相川さんが気になってしょうがないようです。
(なんで相川さん、あんな男にノコノコ付いて来たんだ
イヤ…でも昨日の電話で感じた、相川さんはココへ来たくて来たワケじゃない…)
最初は相川さんを信じていた根岸ですが、相川さんがアサトさんと楽しそうにしている様子を見ているうちに…。
(昨日オレに電話で「行っていい?」なんて聞いてきたクセに、楽しそうにアサトとイチャついてやがる!!
相川のヤツ、どういうつもりだ!!)
根岸の中の悪魔の本性が、首をもたげて来ましたよ。発言もいつの間にやら凶暴性なものに。だんだんクラウザーさんとの境があいまいになってきた…というよりも、二重人格者になっているような気が(w 大丈夫か根岸!?
怒りに燃える根岸にストーキングされているとも知らず、ふたりは観覧車に乗り込みます。あわてて後を追って観覧車に乗り込む根岸。しかし下からだとふたりの様子がよく見えないのですが…。
しかし次の瞬間、根岸はとんでもないシーンを目撃してしまいます。アサトさんが相川さんの肩に手をかけて…キスをしている!?
もっとも、実際はアサトさんが相川さんの首にネックレスをつけているだけなんですが、怒りに燃える根岸はすっかりキスしたもんだと勘違いし、逆上します。
(何してやがんだ、あの人間共!!
昨日、電話でオレがあんなに行くなって止めたのに…
盛りのついた豚めが!!)
観覧車の窓に顔を押し付け悔しがる根岸。「コーホー」「コーホー」という、ウォーズマンのような息使いが、彼の怒りが並々ならぬものである事を現しています。
つーか根岸「行くな」なんて一言も言ってないじゃん!!ってツッコミは野暮ですかそうですか。
というわけで、根岸の怒りは頂点に!!そして…根岸の乗った観覧車が下まで降りてくると…。
変身してる――ッッ!!
なんといつの間にやらクラウザーさんが光臨!!うーん、根岸はいつもクラウザーさんの衣装を持ち歩いているのかなあ(w マメな人だ♪
さて、相川さんとアサトさんは「正義戦隊ビクトリースリー」というヒーローショーを見ていました。ショーはちょうど、ビクトリーレッド・ブルー・イエローの3人が怪人を迎え撃つシーンに。と、ここで相川さん達を探していたクラウザーさんが客席の後ろから現れたので、お客さん達はクラウザーさんを敵の怪人だと勘違いしてしまいます。
予定外の強そうな怪人(クラウザーさん)の登場に、ひときわ大きく驚いているビクトリーレッド。実はこのビクトリーレッドの中の人、彼は必死にバイトをしてDMCのライブに毎回通っている、熱狂的なDMCファンの人だったのです!!
(な、なんでクラウザーさんがココに!?今日の夜はライブのはず…
オレの一生懸命さがクラウザーさんを早めに地獄から呼び覚ましたのか!?)
と、ここで、たっくん(幼児)が「僕が倒してやる〜」と、クラウザーさんのパンチに可愛らしくパンチを「ポス」「ポス」と当ててきました。するとすかさずビクトリーレッドがすっ飛んで来て…。
「クラウザーさんに触れるな 愚民めがぁ!!」
レッド寝返った――!!
しかし、正義の味方のリーダー格をあっさり手なずけるなんて、さすがだぜクラウザーさん!!そこに痺れる憧れるゥーッッ!!
こうして、クラウザーさんに思わぬ味方が付いてしまいました。突然の裏切りに子供達は悲鳴のような叫び声。たちまちヒーローショーが混沌めいたものへと変貌して行きます。
そのビクトリーレッドは、クラウザーさんをやっつけようと向かってきたビクトリーブルーとイエローをマジパンチでブン殴り、もう完全に悪の手先に早変わり!!こんな邪悪なヒーロー、見た事ねえよ!!
さて、クラウザーさんは相川さんを見つけると「貴様来い!!」と愛川さんの手を取ってどっかへ連れ出そうとします。これにはさすがのアサトさんもブチ切れ。「ユリちゃんをはなせ!!」と、愚かにもクラウザーさんに殴りかかって来ました!!
ビクトリーレッドの正義?の鉄拳が炸裂!!
しかしアサトさん、やられ声が「ウォシャレ」だし、倒れ方といい、さすがオシャレ四天王と言われるだけの事ありますな。敵ながらあっぱれです。
こうしてアサトさんもKOされたので、クラウザーさんは相川さんを舞台の上へと上げます。
「うわーん、ブルーとイエローが死んだー!!」
「正義が負けたんだー!」
しかしものすごいヒーローショーだなあ。子供たちの「うわーん」という悲鳴が突き刺さる中…。
「さぁ始まるぞ〜〜
〝死の公開ZANGE〟だぁ!!」
と、ひとりだけノリノリなレッドが最高だぜ、SHIT!
クラウザーさんは相川さんに、観覧車でアサトさんとキスをしたのかと問いただします。しかし、していないと言っても信じてもらえず「貴様“した”と言えぇ!!言わねば殺害だぞ!!」と言ってくるので、仕方なく「じゃ、しました」と答えると…。
「気様のような罪深き豚には。デスペニスをくれてやるわー!!」
いきなりステージで「デスペニス」を歌いだすクラウザーさん!!ビクトリーレッドも「俺ギkターやります!」と、ギターを弾く動作をして盛り上げますが…会場の子供達はドン引き。そりゃそうだよなあ、と思いきや…。
たっくんノリノリだー!!
やはり彼は幼くしてクラウザーさんの凶器に取り込まれてしまったのでしょうか。コイツは将来が楽しみです。 ハミチンしてるし。
そしてしまいには、相川さんをジャイアントスイングするわで、もうクラウザーさんやりたい放題です。ヒーローショーはまさに悲鳴の海。
「うおお観覧車ならぬ 淫乱車の刑だー」
まあ、ビクトリーレッドとたっくんだけはノリノリなんだけどな(w
ちなみに夜のライブにも、ビクトリーレッドはちゃっかり来ていたのでした。ちゃんちゃん♪
若杉公徳先生の巻末コメント
「担当の鼻っ柱をペンチで折ると「痛い」って言います。」