(20100709)今週の「華と修羅」 第四話 「木刀の味」

扉絵キャッチコピー
「母のいない家。広過ぎる家。」

柱文
「食事中突然倒れた毅だが…。」
「母を失い、兄に疑われ、子供達に打ち据えられる…慎太郎の闇は、晴れるのか…?」

先週のラストで、食事中に突然泡吹いてブッ倒れた毅。
主治医からは絶対安静が必要と言われますが、とくに命に別状はないみたいです。
先週アレだけ盛大に泡吹いてたから、てっきり死んだもんかとばっかり思ってたんですが…。
まったく、いつもながら井上先生の描写は過剰すぎる(w



さて、パパンが毒盛られてブッ倒れた事などまったく知らず、家に帰って来た慎太郎。すると階段をエスカレーターのごとく、なめらかに滑り降りてきた次男の美彦(若乃花)が「お前が父上に毒盛ったんだろ(゚Д゚)ゴルァ!」と胸ぐら掴んでブチ切れてきます。


何のこっちゃ分からない慎太郎は、いきなりブン殴られて踏んだりけったり。しかしあんまりわめくと女中や使用人達が出て来て騒ぎになっちゃうので、若乃花は慎太郎の首根っこを持って、どこかへ連行。


そんな様子を階段の上からニヒルなスマイルを浮かべながら見下ろしている新(新便器)。
あ、ちなみに今週コイツの出番はこれだけです。
しかしご安心めされい。今週はずっと若乃花のターンなのですから。



若乃花が慎太郎を連行した先は、屋敷内に有る剣道の道場。道場では子供たちが剣術の練習に励んでいたんですが、突然の珍客にビックリ。

やがて、若乃花は壁に掲げてある木刀を2本掴むと、1本を慎太郎の前にブン投げ、高らかに言い放ちます。


「(木刀を)取るが良い…忘れてはおらんだろうな
貴様は先日、加減せねば私など相手にならぬと貶めた!
が、私は油断しておっただけ!
よいか、私こそ油断せねば貴様など相手ではないのだ!
貴様の驕り、今その身と共に打ってやろう!」


第1話の再戦ktkr!!

しかし、戦う前から敗北フラグ全開なセリフをのたまうあたり、ステキですなあ若乃花


そして若乃花「キエエエ!!!」と木刀を振り下ろし、慎太郎に襲いかかります。
ところが慎太郎は木刀を取るどころか、若乃花の太刀を避けたり防御する素振りすら見せず、敢えて攻撃を身に受けます。


「ふ…よけぬつもりか、よかろう」


すると調子に乗った若乃花は、昂ぶりを鎮まらせるかのように、慎太郎に…。


「認めろ!認めろ!認めろおお!
己の罪を!この美彦の強さを!」





なんと言う「かわいがり」。


というか、無抵抗の相手をフルボッコにしておいて「俺tueeeee!」とのたまうなんて、典型的な小者じゃないですか若乃花兄さん!!



こうして一方的な慎太郎フルボッコタイムが終了。
「もうやめてえ!とっくに慎太郎のライフはゼロよ!」状態なのは、火を見るより明らかです。

つーか、これほど木刀でメッタ打ちにしてこんなボコったら普通に死ねます。どう見てもやり過ぎだYO!!


でも、慎太郎は「兄上が私を信じて下さるまで(木刀を)打ち続けてください…」と言うのみで、自分がやったとは決して口にしません。まあホントにやってないんだから当たり前なんですが、何と言う意思の強さでしょう。


痺れを切らせた若乃花は、道場の子供達に対して「一人ずつ前に出て慎太郎を木刀で殴れYO!」と命令!


とは言え彼らは慎太郎に遊んでもらっている子供達ばかり。しかし彼らの親は唐房家で働く使用人。拒否すれば親の仕事がクビになると脅されては逆らえません。

ごめんなさい、本心は違うんだよ慎太郎お兄ちゃん…!という表情で、木刀を振り下ろす子供たち。
すると、ここで若乃花の口から…。


「強く打つ者には貯古齢糖(ちょこれいとう)*1をやろう!
今を逃せば二度と食えんぞぉ!」


貯古齢糖…ああ、チョコレートの事ね。
今でこそ安価で食べられるチョコレートですけど、大正時代じゃ確かに高級品。庶民がおいそれと口に出来るモノではありません。


するとどうでしょう。あれほど慎太郎を攻撃する事を心の中では拒否してた子供たちの表情が…。





お前ら怖ええ(((( ;゜Д゜)))


子供達は、残酷かつ非情な、憎悪に歪んだ表情で、何の躊躇いもなく「キエエエ!」と木刀で慎太郎をブン殴ってます!!
今にも「死にさらせや(゚Д゚)ゴルァ!」と叫ばんばかりの、憎しみに満ちています。


これほどまでに子供達の心を魅了してしまうのか。恐るべし貯古齢糖の魔力!!



こうして壮絶な「かわいがり」が終了。道場を後にした若乃花は…。






見よ!この満足げなほっこり顔!!


大きな仕事をやり遂げ、昴ぶりの鎮まった男が見せる、充実感溢れる爽やかなスマイルがステキ過ぎます。


とはいえ、結局慎太郎は最後まで「私がやりました」とは口にしなかったわけですから、勝ち負けでいうなら、むしろ慎太郎の逃げ切り勝ちみたいなモンなんですけど、そんな事など全く関係ねえ!と言わんばかりの満面の笑み!

というか本来の目的、完全に忘れてるだろ若乃花wwwww



先週は長男の新便器が、そして今週は次男の若乃花が大活躍した「華と修羅」。順番でいうなら、来週は慎太郎が活躍してもいいハズなんですけど、さあどうなるんでしょうかねえ。つづく。


うーん。若乃花ツラした奴に「かわいがり」を連想させる行為(しかも他人にも強制)を描くとは…。
なるほど。もしかしたらこれは、井上先生が最近不祥事が多い相撲界に警鐘を鳴らしていらっしゃる…ワケないか(′・ω・`)

*1:連載時には「猪口齢糖」と表記されていましたが、単行本では「貯古齢糖」に修正されました。