扉絵キャッチコピー
「かつて存在した誉れ高き千の家々
これより描くは時代に翻弄されしある一族
血よりも赤き花が世に咲き乱れる…
一大叙事詩、ここに開幕!」
柱文
「子供達と水遊びをする青年。その素性は…?」
「身分の差とはかくも残酷なのか…?」
類まれなるコピーの神様、「夜王」の井上紀良先生が次代を担うストーリーテラー谷本和弘先生とタッグを組んで紡がれる新連載「華と修羅」。
大正時代の華族「唐房(からふさ)家」を中心に繰り広げられる、大正ゴシック・サーガ…のようです。
まあ、井上先生の前作「夜王」を楽しみにしていた者としては、原作者が変わっても、夜王のような破壊力の有るコピーギャグ描写がなされるのかということに焦点が行ってしまいます。
でまあどんな漫画なのかなあと、一通り読んでみましたが、どうやら「夜王」と同じスタンスで楽しんでいけばいいんだなあと言うことが分かりました。
と言うわけで、早速読んでいきましょう。
まず登場するのは、主人公の「唐房慎太郎(しんたろう)」(20歳)。名門の華族である唐房家。その当主である唐房毅(こわし)の三男に当たります。…といってもコイツは妾腹の子供なので、立場的には少々辛いようですが…それについてはまた後ほど。
で、問題はその主人公である慎太郎の初登場シーン。
ちょwwwwなんすかこれwwww
両手両足をガキんちょに掴まれ、水中に沈められていると言う、ものすごいシュールな初登場シーン。
まったく、どこの水死体だよ!!
なお、慎太郎の身体に乗っかっているガキんちょどもの中に、1人ようじょが混じっているのですが、顔があまりにも個性的過ぎて、なんだか全然嬉しくありません(w
でもってこの後、ヒロインポジションであると思われる、貴島百合子(きじま ゆりこ)という名家のお嬢様が登場するのですが、初めてのご対面で、まさかのフルチン!!
ビックリした百合子はキャアアッ!!と逃げるように去ってしまいました。
出会い方として考えうる限り、最低最悪な初対面といえましょう。
しかしイベントはまだまだ続きます。今度は屋敷からなにやら女中の叫び声が!!何事かと慎太郎が向かっていくと、そこには…!!
どうやら右側のババア、主人公の母親・清音(きよね)(毅の正妻。慎太郎は妾腹の子だから、コイツとは血は繋がっていませんが)が、今日の会食の為に購入していたドレスを、女中のタエさん(左側のババア)が勝手に着ていたことに大変ご立腹のようです。
まあ、大事にしてたドレスを勝手に女中が着てりゃ、そりゃブチ切れるのも分からんでもないのですが、ソレにしたって…。
コレは無いだろ、コレはwwwww
なんでわざわざキャットファイトじみた脱がせ方するんだよ、このババアは!!せっかくのドレスがもう着れないじゃないかwwwwww
…というわけで、しょっぱなから、主人公溺死 → ヒロインの前でフルチン → ババア同士のキャットファイト という、流れるようなトリッキー展開の連発。
…ここまでの畳み掛けるような濃密過ぎる展開が、僅か5ページの中に凝縮されているのですから、大変恐ろしいです。
「お前らが見たいのは、こういうのなんだろ、あ〜ん?」という、井上先生の心の叫びが誌面からにじみ出てくるかのようですね。
本気です。井上先生は本気で読者を笑い殺そうとしています。嗚呼、恐ろしい…。
さて、主人公の慎太郎は唐房家の三男(末弟)。と言うことは彼には二人の兄貴が存在するわけです。なんだかいかにも「北斗の拳」チックでイイですね。実にwktkします。
と言うわけで次に登場するのは、次男の「美彦(よしひこ)」(22歳)。正妻・清音の子供です…って
初登場シーンがコレかい!!
「今から昂ぶりが鎮まらんのだ!」と叫びながら、これからやって来る百合子の艶姿に欲情して、女中とセックル!!
末弟の慎太郎の初登場が溺死なら、次男はセックル…。血は半分しか繋がっていないけど、やはりコイツ等、兄弟なんだなあ、としみじみ感じました(′・ω・`)
「夜王」の「愛 人 契 約 !」の時もそうでしたけど。やはり井上先生の描くセックルシーンは、どう見てもギャグにしか見えません。さすがだ(w
しかしなんと言うかこの次男、典型的なダメ兄貴タイプって感じがプンプンします。そのうち慎太郎に対して「兄より優れた弟など存在しねぇ!!」とか言い出しそう。それなんてジャギ様?
そして最後に登場するのは、唐房家長男・「新(あらた)」(25歳)。同じく正妻・清音の子供です。トリッキーな登場シーンだった弟たちとは違い、自室で英字新聞に目を通すといった、実に紳士的な登場シーン。さすがは長兄。貫禄がありますなあ。
…って、アレ?
肉便器!!肉便器じゃないか!!
井上先生の前作「夜王」に登場した大人気キャラ・霧崎京一郎(愛称:肉便器)のそっくりさんが、まさかの出演!!
ちなみに「夜王」の肉便器がどんなキャラだったのかと言うのは、この辺でもご覧くださいませ。
とはいえ、少なくとも第1話の時点では、この新、特に変な暴言を吐いたり、奇行に走ったりはしていないのですが、もはやこの外見を見ただけで…もう笑いが止まりません。
原作者の谷本和弘先生には大変心苦しいのですが、もうコイツのアダ名は「肉便器」以外考えられません。
異論なんざ認めません。悪いのは、肉便器と同じキャラデザインを採用した井上先生なのですから(w
…が、そのまんまも芸が無いかなあという気がして来たので、そういえばコイツの名前が「新」でありますから、そこから一字とって「新便器」と表記する事にします。
便器ファミリーに、また新たな仲間が…!!恐るべし肉便器一族。
そういえば新便器の書斎。本棚には「広辞苑」とか、蘭学の本とか、様々な小難しい書物が並んでいるのですが、その中でも一際目立つのが集英社の「大漢和辞典」。
28ページの4コマ目を見た限りでは、同じ集英社の「大漢和辞典」が、17冊もズラーッと並んでいます(当然全部コピー)。
うーん。どうして同じ漢和辞典が17冊もあるのでしょう。
わたくしKAJIMEの高校時代の友人に、毎年「イミダス」を定期的に購入していた人がいましたが、毎年内容の変わるイミダスならともかく、漢和辞典なんて、そう何度も改編されるモンじゃありません。コレはあまりに不自然です。
もしかしたら大漢和辞典ってのはカモフラージュで、カバーをはずすと、中にエロ本でも隠してるんじゃね?っていう邪推をしてしまいます。それも陵辱系の。なんと言っても、ツラがツラだけに(w
さて、当主の毅はどっかでやってる会議が長引いてる為、不在ですが、兄弟3人とババアとで、招かれた百合子と会食を楽しんでいます。
ところがここで事件発生!!屋敷にやってきた髭ヅラのおっさんが失業して離婚した逆恨みから「毅に会わせろ(゚Д゚)ゴルァ!」と、タエさんを人質に立て篭もってしまいます。オッサンの手には猟銃が握られており、このままでは人質のタエさんが危(ヤバ)い!!状態です。
慎太郎は、タエさんを救わなきゃ!警察と父上に電話を!と叫びますが、新便器たちは「コレは俺たちだけで解決するメーン」と、あくまで唐房家の名誉を最優先。
賊なんかの要求に屈したら唐房家の名折れだYO!ってことで、とっととオッサンをフン捕まえようとします。もちろん人質のタエさんがどうなろうが、知ったこっちゃありません。賊を捕まえる事で唐房家の名誉アップ!!そのためには女中1人の人命など完全にアウトオブ眼中。
こんな奴等には任せてはおけねえ…。そう結論付けた慎太郎は会議に出てる毅に電話をかけたり(今忙しいからつまんない事で電話すんな(゚Д゚)ゴルァ!とか言われちゃいますが)、次男の若乃花と木刀でチャンバラごっこをしたりしながら、単身タエさんを救出しに向かいます。
そして慎太郎は一瞬のスキを突いて、巨大なツボでオッサンをブン殴って、見事タエさんを救出!!思わず抱きしめたタエさんが「痛い…です…」と言うので、思わず抱擁を解くのですが…。
ちょwwww吐血sugeeee!!
まるでホラー漫画のような盛大な血の吹き出し方です。
そして盛大に吐血したタエさんはそのままぶっ倒れてしまいます。、よく見るとタエさんの背中には、いつの間にやら出刃包丁がブッ刺さっているのですが、この包丁はどっから出てきたんだ?*1
賊のオッサンも慎太郎も、こんな包丁なんざ持っていませんでしたから、考えられるとすれば、遠くから新便器・若乃花・ババアの誰かが「シュッ!!」と包丁をブン投げ、タエさんの背中を狙ったと考えるのが自然なのでしょうが、だとするとコイツ等、ものすごい正確無比なコントロールです。凄ェ!!
つーかそんなコントロールあるなら、タエさんよりも先に、とっとと賊に包丁投げろよwwwww
そしてここで慎太郎の母親がタエさんであることが判明。タエさんは息子に唐房家の爵位を継げと言い残して、息を引き取るのです。なんとも悲しさ一杯のシーンですが、慎太郎母子の後ろに立つ新便器たちののっぺりとしたコピーが妙に笑えてしょうがありません。せっかくのムードが台無しだwww
…とまあ、こんな感じで、しょっぱなから大暴走していた「華と修羅」の第1話。
原作者が変わることで、夜王の神がかり的な面白さ(コピーギャグ漫画的な意味で)が失われるのではないかと心配もしていたのですが、ほぼ夜王と変わってなくて安心しました(w
2話以降では長男・肉便器の変態的行為に期待しつつ、次回へつづく。
*1:単行本第1巻では、オッサンが連行される時に「へへ…武器は猟銃だけじゃねぇんだ!」と叫んでおり、オッサンがタエさんを包丁で刺した事が分かりやすく修正されています。