[バレンタイン心中」その3 「お嬢さまはワイルダーがお好き」


 春菜は綾に「あなたが好き」と告白するものの、あっさりと振られてしまいました。
 翌日。そんな春菜が学校に登校すると、教室の黒板にはとんでもない事になってました。





何者かが盗撮していた、綾と一緒にいる写真とともに、言われもない誹謗中傷が描かれています。
まあ、ぶっちゃけるとやったのは全部冴子なんですが…。


この黒板に書かれた文章のセンスといい、ご丁寧に写真に吹き出し書いたりとか、、左上のドスケベの「ド」の字を装飾するわと、変な所でセンス大爆発!!


 たぶん冴子はもの凄く早くに登校して、あーだこーだと試行錯誤しながら、このメッセージを書いていったのでしょう。物凄く手間かけすぎです。お前はそのエネルギーをもっと有意義に使えよと言わざるを得ません。



 そしてその文章のセンスもすごいというかなんと言うか…ハチャメチャ。


「インラン女!!昨夜もお盛ん!!」
「ビンボー人ワイルダー ケンカの後はラブラブファイヤー」
「お嬢さまはワイルダーがお好き」


 まあ一つ目の「インラン女〜」はまあいいでしょう。ふたつ目の文の「ラブラブファイヤー」という単語からして、冴子、もしくは山崎みちよ先生がダウンタウンのごっつええ感じ」が好きだったのでしょう。たぶん。


問題は一番最後です。


ワイルダー」って、何だよwww


 こんな単語聞いたことがねえよ!!たぶん冴子(山崎みちよ先生)は形容詞の「WILD」「ER」を付けて「Wilder」、綾を「野蛮人」とでも表現したかったんだと思うんだ。
 だったら「野蛮人」って普通に書きゃいいのに、変な所で英語にしちゃうから墓穴掘っちゃうんだよ!! 


コレじゃ、自分の英語力の無さをクラスメイトに暴露しちゃってるようなモンです。アホだなあ、冴子。



 とまあ、この写真のせいで、春菜は学校中のみんなに陰口をたたかれ、挙句の果てには学院長に呼び出しを喰らいます。先生たちは綾の写真を見るなり…。


「まったくっ、学校はじまって以来の不祥事ですっ」
「この男、どう見たってならず者ですわ」
「まあっ、なんて汚らしい格好してるの!?」
「男のくせに長髪なんて何を考えてるのかしらっ」
「こんな汚らわしい男がこの辺をはびこってるなんて、許せませんわっ」


ちょwwお前らボロクソ言い過ぎwww


とても教育者とは思えんほどの差別っぷりです。



さて。一方の綾ですが、彼の元に尚樹が現れ「おれの許婚ちょっかい出すな(゚Д゚)ゴルァ!」とか言い出します。まあ綾には(今のところは)そんな気は無いんですけど、尚樹の綾に対する人を見下した失礼な言動にカチンとくるわけです。


「何さまだお前は?
お前らみたいな金でブクブク太ったブタにそんな事を言われる筋合いは無い」


「――へえ…おれは太ったブタか、するとさしずめお前はやせた狼か?
笑わせんなよ、そのブタから金稼がせてもらってんだろ?
狼どころかウジ虫以下じゃねーか
お前はおとなしく働いてアーパー女と乳繰り合ってりゃいいんだよ」


なんという凄いフレーズの応酬!!


しかし「金でブクブク太ったブタ」とか「やせた狼」とか、とても少女漫画に出てくるセリフとは思えんなあ(w


結局最後は綾にブン殴られて、尚樹は綾に対して激しい復讐心を抱くのでした。そしてこれが運命の歯車を狂わせる…。



さて、春菜の方ですが、先生達には「もう2度としねえよウワァァン・゚・(ノД‘)・゚・ 」という旨の反省文を書いて落ち着いたのですが、教室に戻ってみると、クラスメイト達によって机に「アホ」だの「ドスケベ」「学校来るな!」と思いっきり落書きされてたり、家にもイタズラ電話がかかって来たりで、いきなりいじめられっ子に転落。


もはや学校に春菜の居場所は無いってカンジです。なんという転落人生。とはいえこれは、山崎みちよ「心中シリーズ」ではごく当たり前の事なので、気にしないでおきましょう(w



そんなある日、春菜は死んだ母親の部屋に入ってみると、ピアノにカギ付きの日記があるのを発見。日記には写真が挟んであり、その写真には若き日のママンが見知らぬ男とともに満面の笑みを浮かべていました。それは、今まで見た事もない、母親の幸せいっぱいの笑顔…。
実は春菜のママンは、好きだった人と引き裂かれ、岡パパンと無理やりくっつけられたのです。


で、結局最後は「私もこの情熱に任せて生きて行きたい」とかほざきだして、春菜は勝手に家を出て行ってしまうのでした。つづく。