デトロイト・メタル・シティ TRACK40「SATANIC EMPEROR.9」


 音楽の力を利用して、意図的に犯罪を誘発させているとさえ言われている、ノルウェーのメタルバンド・ヘルヴェタ。そして日本で猟奇的魅力により狂信的なファンを集めるDMC。その2つの悪魔がついに同じステージに立つ時がやってきた!!



 ファンを操り、サタニック・エンペラーのイベント自体をメッチャクチャにしたヘルヴェタ。
 対するDMCクラウザーさんは、相川さんからの電話でオザケンのラブリーを歌いながら、不気味な腰つきで入場。



 しかし、ヘルヴェタのボーカルはクラウザーさんが電話を切ろうとした瞬間に、持っていた斧を振りかざし、携帯を破壊!!

 携帯は無残にも真っぷたつにされてしまいました。


(いきなり人に向けて斧振り回して…
こんな怖い人達を相手にするのはイヤだよ…)


 完全にビビってしまうクラウザーさん。「SATSUGAI」を熱唱する際も、ヘルヴェタのボーカルにガンを飛ばされ、思わず…。



「SATSUGAI」焦らしバージョンに。



そんなクラウザーさんをあざ笑うかのように、ヘルヴェタも演奏開始。
その圧倒的実力な演奏に、ジャギ様も、クラウザーさんも圧倒されるばかりです。


やがて、ヘルヴェタのボーカルが“予言”をおっぱじめました。

“怯え震えし弱き豚、ハイエナ共に食いつくされる”


「怯え震えし弱き豚とは、DMCのこと…」
「俺たちハイエナが血祭りに上げるんだー」


この予言を聞いたヘルヴェタのファンたちが集団でクラウザーさん目がけてステージに上がりこむ!!
ああ、クラウザーさんはこのままヘルヴェタのファンたちに“SATSUGAI”されてしまうのか!?


「バカかテメーら、どう考えても弱き豚とは
アソコの屋台の豚汁のコトだろーがぁ!!」


そして集団で豚汁屋の屋台に駆け込み、豚汁に喰らいつくファンたち!!



豚汁屋、ワケも分からずボロ儲けです。



しかしクラウザーさんだって、このままやられてばかりではいられません。
負けじと“予言”をおっぱじめました。

“剥ぎ取られし皮、ノルウェーのペテン師、骨のみとなる”


「剥ぎ取られし皮とは、ヘルヴェタの衣装を剥ぎ取れってコトだー」
「肉ごと剥ぎ取り、骨だけにしろー」


この予言を聞いたDMC信者たちが集団でヘルヴェタ目がけてステージに上がりこむ!!
ああ、ヘルヴェタはこのままDMC信者たちに“SATSUGAI”されてしまうのか!?


「アホか!!皮むいて骨になるのは
ノルウェー名産の鮭(サーモン)のコトだろうがぁ!!」


そして集団で焼き鮭屋の屋台に駆け込み、焼き鮭に喰らいつくファンたち!!


焼き鮭屋、ワケも分からずボロ儲けです。



豚汁と焼き鮭をたらふく食って、次はデザートを食いたいぜーと叫ぶファン達。
明らかにヘルヴェタの望む方向とは違う流れになってます(w



すると、突然ヘルヴェタのボーカルが、身に付けていた衣装を脱ぎだし、中の人が姿を表します。
それを見て、クラウザーさんは驚愕…。



(こ、この人、僕にすごく似てる…)


目の前に現れたのは、公然猥褻カットの、どう見ても根岸にそっくりなゴボウ男。
そして、楽屋前でシャッチョさんにイキのいいローキックを入れた人物でした。


「お、おい、アレは確か」
ノルウェーのポップミュージシャン、シャーセじゃないか…」


シャーセノルウェーのポップミュージックですごく人気があるミュージシャン。
そいつが、自分たちが支持して来たデスメタルバンドのヴォーカルと同一人物なのですから、ヘルヴェタのファンさえも驚きを隠せません。
いったい何故?ざわめくファンたちの前で、シャーセが口を開きます。


「貴様等に我らへルヴェタの計画を教えてやろう
音楽により人間を操り、我らの楽園を創る計画

“デーモンゲート666”…」


ヘルヴェタの確固たる地位を築いたシャーセは、更なる兵隊を手に入れるため、ポップミュージックに進出。
そしてポップミュージシャンとしても成功し、更なる兵隊を手にします。
同じゴボウ男なのに、根岸とはえらい違いです(w


「正体を明かした今となれば、ヘルヴェタであるオレのため
奴等は我が身を省みず、我々の命令に従うであろう」


そしてシャーセに続いて、他のヘルヴェタのメンバーも正体を表します。


ギターは、ノルウェーのパンクバンド“ダッド”のエルヴァルド!!


ドラムは、ヒップホップ界注目のDJ、ボルベア!!」


ベースはミクスチャーロックシーンで活躍するグンネルス!!



彼らもシャーセ同様、ヘルヴェタの兵隊を手に入れるため、他ジャンルに進出・成功したものと思われます。
彼らはあらゆる音楽を操り、悪の世界の入口を築き上げようとしていたのです。

すごいなあ。音楽で世界征服って、まるで「無頼男」のケイオスじゃないか(w


      /   _△_    \    Forget everything ... 
     /    /ナイナヽ    \ 
    |  ″ <|イナイ|> ″  |            Forget everything ... 
    |:::::‖   ヽ⊥ノ   ‖::::| 
    | <      ▽     > |    Forget… 
  /^''Y  <ニ●ニ>  <ニ◎ニ>  Y''ヘ  (忘れるんだ…) 
  | 久|< ヽ:::::ー | | `ー::::'´  >|/ヘ|  Forget everything… 
  !.イ| \     l| |l     / | ヽ|  (なにもかも…) 
   ヽ_|  ヽ /  l|:M:|l  ヽ ノ  │ノ   Everything… 
     |\  v======v   /|     (すべてを忘れるんだ…) 
     |:::::\ ヽ___/  /  | 
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「我等がヘルヴェタ信者共よ、全てを我等の手の中に入れようではないか…」


本気で全ての音楽を制するつもりだったヘルヴェタに、ファンが沸くなか、クラウザーさんの中でふつふつと何かが湧き上がってきます。


(どうゆうコトだ
僕はポップミュージックがやりたいのに、このバンドをやっている…
なのにアイツは、やりたいワケでもないポップスを
最低な理由でやり、しかも成功している

オレは全然認められてねぇのに!!


別にひがんでるワケじゃねぇが…


オレは全然認められてねぇのに!!)



自分と同じ公然猥褻カットのゴボウ男。なのに、こっちはやりたいジャンルで成功できないのに、向こうは成功している…。
湧き上がるクラウザーさんの怒りが、悪魔のギターに込められて…。


(なにがヘルヴェタだ、ただの童貞ヅラのガキじゃねえか
貴様等などに、メタルの帝王の座をゆずれるか――)



「見れば見る程腹立つ顔しやがって
このゴボウ男めが――!!」


ある意味自虐的な方向に怒り狂うクラウザーさん
果たしてメタルの帝王は2人のゴボウ男のどちらに微笑むのか?次回へつづく。


若杉公徳先生の巻末コメント
「別冊ヤンマガに実話漫画描きました。」