デトロイト・メタル・シティ TRACK31「UNITED」

 いよいよ、世界中のデスメタル・バンドが集う地獄の祭典「サタニック・エンペラー」の開催日がやってきました。決戦当日の夕方にはデスレコーズに集合することになり、シャッチョさんも「遅れた奴は殺す」と気合いが入ってます。


 しかし、戦場へ向かう当日、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿・根岸は、相川さんとある約束をしていました。


(正直、もう帰ってこれるかわからない…
夕方まで最後の幸せの時間を相川さんと過ごすんだ…)


 というわけで、根岸は相川さんたちとフリーマーケット「ラストオシャレ」を楽しむことになっていました。
 こんな楽しそうな仲間たちと一緒にフリマするのに、自分にはメタルの道しか残されていないのか…と、最初は元気のない根岸でしたが、なぜか根岸の用意した洋服だけが次々と売れていき、相川さん達みんなが根岸を讃えだしました。


(ああ、オシャレの神様はまだ僕を見捨ててなかったんだなあ
へへっ、僕はコッチの世界で全然やっていけるんじゃないか)


 調子に乗った根岸はみんなの前で「国際オシャレ連合」の設立を宣言。 みんなの推薦によって、事務総長に就任します。

国際オシャレ連合(通称:オシャ連)


世界の平和とオシャレの発展のために協力する機関である!!

設立主意

・オシャレの達成
・オシャレの維持
・オシャレの保護
・オシャレの協力


(ああ、楽しいっ
まるでオシャレの中心で、オシャレの種をまいてる様なこの感じ…
やっと見つけたよ、このオシャ連こそが、僕の居場所なんだ)


 ついに見つけたベストプレイスを満喫する根岸。余談ですが、根岸の「オシャレの中心で〜」という発言が、シャッチョさんの名言、「へっ…コレよコレ、世界の片隅でこっそりと核兵器を造ってるこの感じ」の対比になっているところが、実に上手いなあと思ったり。



 しかし、根岸の幸せな時間をブチ壊す男が現れてしまいます。



 彼は相川さんの元カレ「関祐太郎」くん。密かに相川さんに恋心を抱いている根岸にとって、もっとも来て欲しく無い男でしたが、なし崩し的に元カレも「オシャ連」に加入することに。自分の知らない相川さんの話もされちゃって、いたたまれない気分になってしまいます。


(うう、オレの知らない相川さんの話をするな…
ここはお前のいる場所じゃないんだよ!!
うう、速くコイツをここから追い出さなきゃ…)


 だんだん考え方がクラウザーさん化している根岸ですが、ここでひとつのアイディアが浮かびます。


(コイツがなにかオシャレじゃない物(武器)を所持していれば…
オシャ連を脱退させるコトができる!!)

オシャ連 第0480(オシャレ)条


オシャレじゃないモノを

・持たず
・作らず
・持ち込ませず


 なんだか勝手にものすごい三原則作っちゃってますが、そんな時、根岸は元カレのバッグに、あるモノが入っているのを発見します。


(ん、アレは…)



  大 量 破 壊 兵 器
(メタルのCDだ)


 どうやら、オシャレとメタルとは、決して相容れてはいけない物のようです。CDのバッグに写る、いかにもなミサイルが笑えます。


(コレは、このような大量破壊兵器を持っていながら、
のうのうとオシャ連に加盟してきた貴様への、制裁であるわ!!)


 根岸はここぞとばかりに、みんなの前でそのメタルのCD(大量破壊兵器)を流そうとします。
 まあ、根岸はその大量破壊兵器を作っている立場の人物なんですが、そんなものは見えやしねー!!


「オシャ連第0480(オシャレ)条により
このような曲を好んで聴く者は、連合の脱退してもらう」


 根岸がCDをかけると、たちまち辺りに暴力的なミュージックが大音響で流れ出し、さすがの相川さんたちもシブい顔。元カレいわく「兄貴がメタル好きだから」買ったらしいんですが…。

 しかし気がつくと、その大量破壊兵器の音楽にのって、ものすごい表情でノリノリに踊りまくっている事務総長の姿が!!


(どうだ、このメタル(元カレ)野郎
オシャレじゃない貴様は即刻この場から立ち去れ!!
貴様の大量破壊兵器が爆音をあげてるぞ!!

最高の重鋼金属音楽がな!!)


 最初は元カレを陥れるためだったはずの演奏が、今ではすっかり根岸がノリノリです。だんだんクラウザーさんの人格があらわになりはじめます。


(なんだ、コイツらのアホみてーなブタ面は
なにがフリマだ、なにがオシャ連だ…
メタルをバカにしやがって!)


 みんなが唖然とするなか、根岸はネクタイを拾い上げると、首に撒き付けはじめて…。


(貴様らには分からぬか…
このメタルの素晴らしきパフォーマンス…
こんなくだらぬ会など…)



(脱退してくれるわ――!!)


 相川さんたちが事務総長のご乱心に慌てだすなか、根岸はネクタイで首を吊る自虐的パフォーマンスを見せながら、フリマの会場を後にするのでした。



 さてその頃、夕方になったのでデスレコーズに集結するDMCのメンバーたち。ジャギ様の世を忍ぶ仮の姿、和田や、カミュさんの世を忍ぶ仮の姿・西田はもちろん、梨元さんにグリとグラもいます。しかし肝心の根岸がいつまでたっても現れないので、シャッチョさんはカンカンです。

 仕方がないので一足先に駐車場に向かうと、「デスレコーズ」と書かれた車の中で…。



 気がついた根岸は「しまった、ついテンションが上がって首を吊ってしまった!!」と言ってます。いくら何でも自虐的すぎ。


 ともあれ、コレで全員そろったので、ついにDMCメンバーは「サタニック・エンペラー」の行われる、山梨の富士の樹海特設会場に向かうのでした。つづく。



若杉公徳先生の巻末コメント
「皆様のおかげで渋谷のタワレコのビルが女性の顔になってました。」




●オマケ 今号の「摩央姉ちゃん」




摩央姉、「サタニック・エンペラー」出場か!?

なにげに、今号のキミキスDMCは展開がシンクロしてるなあ(w