いよいよ、世界中のデスメタル・バンドが集う地獄の祭典「サタニック・エンペラー」の開催日がやってきました。決戦当日の夕方にはデスレコーズに集合することになり、シャッチョさんも「遅れた奴は殺す」と気合いが入ってます。
しかし、戦場へ向かう当日、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿・根岸は、相川さんとある約束をしていました。
(正直、もう帰ってこれるかわからない…
夕方まで最後の幸せの時間を相川さんと過ごすんだ…)
というわけで、根岸は相川さんたちとフリーマーケットで「ラストオシャレ」を楽しむことになっていました。
こんな楽しそうな仲間たちと一緒にフリマするのに、自分にはメタルの道しか残されていないのか…と、最初は元気のない根岸でしたが、なぜか根岸の用意した洋服だけが次々と売れていき、相川さん達みんなが根岸を讃えだしました。
(ああ、オシャレの神様はまだ僕を見捨ててなかったんだなあ
へへっ、僕はコッチの世界で全然やっていけるんじゃないか)
調子に乗った根岸はみんなの前で「国際オシャレ連合」の設立を宣言。 みんなの推薦によって、事務総長に就任します。
国際オシャレ連合(通称:オシャ連)
世界の平和とオシャレの発展のために協力する機関である!!
設立主意
・オシャレの達成
・オシャレの維持
・オシャレの保護
・オシャレの協力
(ああ、楽しいっ
まるでオシャレの中心で、オシャレの種をまいてる様なこの感じ…
やっと見つけたよ、このオシャ連こそが、僕の居場所なんだ)
ついに見つけたベストプレイスを満喫する根岸。余談ですが、根岸の「オシャレの中心で〜」という発言が、シャッチョさんの名言、「へっ…コレよコレ、世界の片隅でこっそりと核兵器を造ってるこの感じ」の対比になっているところが、実に上手いなあと思ったり。
しかし、根岸の幸せな時間をブチ壊す男が現れてしまいます。
彼は相川さんの元カレ「関祐太郎」くん。密かに相川さんに恋心を抱いている根岸にとって、もっとも来て欲しく無い男でしたが、なし崩し的に元カレも「オシャ連」に加入することに。自分の知らない相川さんの話もされちゃって、いたたまれない気分になってしまいます。
(うう、オレの知らない相川さんの話をするな…
ここはお前のいる場所じゃないんだよ!!
うう、速くコイツをここから追い出さなきゃ…)
だんだん考え方がクラウザーさん化している根岸ですが、ここでひとつのアイディアが浮かびます。
(コイツがなにかオシャレじゃない物(武器)を所持していれば…
オシャ連を脱退させるコトができる!!)
オシャ連 第0480(オシャレ)条
オシャレじゃないモノを
・持たず
・作らず
・持ち込ませず
なんだか勝手にものすごい三原則作っちゃってますが、そんな時、根岸は元カレのバッグに、あるモノが入っているのを発見します。
(ん、アレは…)
大 量 破 壊 兵 器
(メタルのCDだ)
どうやら、オシャレとメタルとは、決して相容れてはいけない物のようです。CDのバッグに写る、いかにもなミサイルが笑えます。
(コレは、このような大量破壊兵器を持っていながら、
のうのうとオシャ連に加盟してきた貴様への、制裁であるわ!!)
根岸はここぞとばかりに、みんなの前でそのメタルのCD(大量破壊兵器)を流そうとします。
まあ、根岸はその大量破壊兵器を作っている立場の人物なんですが、そんなものは見えやしねー!!
「オシャ連第0480(オシャレ)条により
このような曲を好んで聴く者は、連合の脱退してもらう」
根岸がCDをかけると、たちまち辺りに暴力的なミュージックが大音響で流れ出し、さすがの相川さんたちもシブい顔。元カレいわく「兄貴がメタル好きだから」買ったらしいんですが…。
しかし気がつくと、その大量破壊兵器の音楽にのって、ものすごい表情でノリノリに踊りまくっている事務総長の姿が!!
(どうだ、このメタル(元カレ)野郎
オシャレじゃない貴様は即刻この場から立ち去れ!!
貴様の大量破壊兵器が爆音をあげてるぞ!!
最高の重鋼金属音楽がな!!)
最初は元カレを陥れるためだったはずの演奏が、今ではすっかり根岸がノリノリです。だんだんクラウザーさんの人格があらわになりはじめます。
(なんだ、コイツらのアホみてーなブタ面は
なにがフリマだ、なにがオシャ連だ…
メタルをバカにしやがって!)
みんなが唖然とするなか、根岸はネクタイを拾い上げると、首に撒き付けはじめて…。
(貴様らには分からぬか…
このメタルの素晴らしきパフォーマンス…
こんなくだらぬ会など…)
(脱退してくれるわ――!!)
相川さんたちが事務総長のご乱心に慌てだすなか、根岸はネクタイで首を吊る自虐的パフォーマンスを見せながら、フリマの会場を後にするのでした。
さてその頃、夕方になったのでデスレコーズに集結するDMCのメンバーたち。ジャギ様の世を忍ぶ仮の姿、和田や、カミュさんの世を忍ぶ仮の姿・西田はもちろん、梨元さんにグリとグラもいます。しかし肝心の根岸がいつまでたっても現れないので、シャッチョさんはカンカンです。
仕方がないので一足先に駐車場に向かうと、「デスレコーズ」と書かれた車の中で…。
気がついた根岸は「しまった、ついテンションが上がって首を吊ってしまった!!」と言ってます。いくら何でも自虐的すぎ。
ともあれ、コレで全員そろったので、ついにDMCメンバーは「サタニック・エンペラー」の行われる、山梨の富士の樹海特設会場に向かうのでした。つづく。
若杉公徳先生の巻末コメント
「皆様のおかげで渋谷のタワレコのビルが女性の顔になってました。」
●オマケ 今号の「摩央姉ちゃん」
摩央姉、「サタニック・エンペラー」出場か!?