デトロイト・メタル・シティ TRACK12「FRUSTRATION」


 今日は根岸がひそかに惚れている相川さんといっしょに、代官山にある「ヒプノタイズ」というお店にやってきました。ここは洋服屋でありながら、バーカウンターやDJがいたり、ステージまであったりする、ものすごーくオシャレな場所。当然ロクやパンクなどといったモノとは程遠い場所なわけですが、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿である根岸はオシャレ好きなわけでして、気分はウッキウキ。


(へへっ、今の僕はオシャレピラミッドの頂上付近にいる、今日はめいっぱい楽しもう!!)


根岸作「オシャレピラミッド」(代官山編)

 オシャレピラミッドの上位「女の子と代官山へ行く」のまっただなかの根岸。と、そこへ思いもよらぬ人物が現れます。

 彼の名はデザイナーの「アサトヒデタダ」。オシャレピラミッドの頂点「代官山を拠点に活動する」に君臨する「東京オシャレ四天王」の一人です。もっとも「東京オシャレ四天王」だなんて、誰が言ったか知りませんが(w 単に根岸が勝手にそう思い込んでるだけかもしれません。

 そんなオシャレピラミッドの頂点に君臨する彼は、根岸に対しても気さくに優しく接してくれます。そして根岸がミュージシャンを目指していることを知ると、この店のライブスペースで演奏してみないか?と勧めてくれるではありませんか!
 最初は遠慮していた根岸ですが、アサトの「失敗してもいいんだよ」という優しい言葉もあり、なにより大好きな相川さんにいい所を見せ付けるチャンス!という事で、舞台に上がって演奏することになりました。

 クラウザーさんとして、そしてDMCとして演奏する時とは正反対の毛色のお客さんたち。ここでみんなの心をつかんで、アサトさんにも認められて、こっちの世界でやっていけたら…!!そんな淡い期待を胸に、根岸は1番の自信作「甘い恋人」を歌います。

「甘い恋人」
作詞:根岸崇一


朝目が覚めるとキミがいて
チーズタルト焼いてたさ
スウィーツベイビー キミはそうさ
甘い甘い僕の恋人

さあ出かけよう オシャレして街にさ
チーズタルト片手 キミはハシャイでる
人ゴミかきわけ 行こうよあのお店
おそろいのリング 今日買う約束だから

(以下省略)

 一番の自信作。これは決まった!!と確信する根岸ですが…お客さんはまったくの無反応。むなしい静寂が息苦しく感じられます。それでも何とか盛り上げようと努力する根岸ですが…ここでいきなりアサトがステージ上に上がって、信じられない言葉を!!



「あの、根岸くんだっけ……?
お遊戯的な事なら外でやってくんない?」


 あまりにも非情なる宣告!!つーかアンタさっき「失敗してもいいんだよ」とか言ってたじゃん!!なんてひで−ヤツなんだ!それとも根岸のフォークソングは、みんながドン引きしてしまうほど絶望的にヘッタクソだったのでしょうか(w

 渾身の1曲を「おゆうぎ」呼ばわりされて、大ショックを受けてしまった根岸は「もう来ねえよウワァァン!・゚・(ノД‘)・゚・ 」と、逃げるようにしてステージから走り去ってしまうのでした。



「へへ…結局…、……にはDMCしかないのか
やりたい…自分の音楽には誰も振り向かない…」

 その夜。根岸は自宅で酒に溺れていました。バーボンをかっ喰らってバカにされたことを愚痴っています。部屋に流れているのはDMCの曲「この恨みはらさでおくべきか」でも以前出てきた時と微妙に歌詞が違うぞ(w 

「この恨みはらさでおくべきか」
作詞:クラウザーII世


貴様の罪は俺が罰する
オレは地獄からの使者
貴様の尻を八つ裂きじゃ

恨みはらさでおくべきか
恨みはらさでおくべきか
お前を地獄でまた殺す

左手に憎しみ
右手に狂気
永遠の極刑くれてやる

恨みはらさでおくべきか
恨みはらさでおくべきか


「なにが四天王だ…アサトのヤツ,人のことバカにしやがって…
オレはDMCじゃ帝王の座に君臨しておるのだぞ〜
お前より地位上なんだっ!!」

 そう愚痴りながらバーボンを豪快に…いや、チビチビとすすっている根岸。もっとも、バーボンといっても、(水)9:(酒)1に薄めたヤツを、1センチ程度含んだだけなんですが、すっかり酔っ払っちゃってます。


「ヘケケ、酒に逃げちまうなんて初めてだ、やっぱバーボンはキツいぜぇ」



 つーかバーボンあまりにも薄めすぎ!!下手すりゃ「ひぐらしのなく頃に」の梨花ちゃま(肉体年齢1ケタ)よりも酒弱いんじゃ(w


 しかも根岸は酒グセもかなり悪いようで、壁に貼ってあるアメリのポスターにからんじゃってます。


「なに笑ってんだアメリ、コラァ!
オシャレだからって人のことバカにしていいのかぁ!
オレは帝王だ、“公開レイプ”の使い手であるぞ!!」


 そしてひとしきりアメリに怒りをぶつけたあと、酔っ払った根岸は相川さんの事まで暴言をわめきちらす始末。ートをペラペラとめくって、昼間歌った「甘い恋人」の歌詞を眺めながらこう愚痴っています。

「アイツにおだてられてこんなに曲も作ったのによ…
この曲だって、DMCでやったら、最高に盛り上がるんだ…!!」



 数日後。根岸はすっかり酒に溺れてやつれきった姿で社長の前に現れました。


「シャッチョさ〜〜ん、曲書いてきやしたぇ〜〜」



 この女シャッチョさんはDMCを手がけたパンクなお人なのですが、根岸のあまりにも出来上がった姿には驚きを隠せません。三日三晩飲みまくっていたドランカー根岸はそんな社長などお構いなしにクラウザーさんへと着替えて行きます。


「シャッチョさん、決めましたよオレ〜〜〜
クラウザーとして生きて行くコト…
DMCには待ってくれる人がいるし、帝王としての責任もある
今日でオレ(クラウザー)は、コイツ(根岸)を封印する」



 封印宣言来ちゃった━━━(゚∀゚)━━━ !!!

 いくら酒の力とは言え、とんでもないことを言いだしてしまっちゃいましたよクラウザーさん!そしてシャッチョさんの前で、新曲「悪い恋人」を歌い上げます。

「悪い恋人」
作詞:クラウザーII世


朝目が覚めるとキミがいて
俺の両親焼いてたさ
クレイジーベイビー キミはそうさ
悪い悪い俺の恋人

さあ出かけよう オシャレ共殺(や)りにさ
チェーンソー片手 キミはハシャイでる
人ゴミ切り裂き 行こうよあのお店
おそろいの凶器 今日買う約束だから

(以下省略)

※ 赤字で書かれている箇所が、「甘い恋人」と歌詞が変わってるところです


 ラブソング、ちょっと工夫でこのパンク!(by神田川俊郎物凄いパンクっぷりです。シャッチョさんも「ビチョ濡れの名曲(ラブソング)だわ…」と、大絶賛してます。

 しかし、社長の静止も聞かずに大暴走しちゃったため、クラウザーさんはブチ切れたシャッチョさんに足蹴にされちまうのでしたとさ。ちゃんちゃん♪



若杉公徳先生の巻末コメント
「手紙をくれる人間共、本当にありがとうございます。」 




 …ああそうそう、言い忘れてました。今回は「DMC」だけではなく、そのあとのみたむらくん」も大変パンクでした。なんと作中にDMCの作者若杉先生をモデルにした、漫画家・若松先生が登場!!



 いちいち発言の語尾に「ファック」がついてます!!イカすぜファック!


 さあ、んな若松先生にいくつか質問をしてみましょう。



Q:(マンガを描く)アドバイスがあったらぜひ!









Q:若松先生が恋愛モノを描くとしたらどんなカンジですか?









 若杉…じゃなかった、若松先生、最高だよ!