(20110311)今週の「華と修羅」 第三十六話 壁

扉絵キャッチコピー
「選んだ道には 儘ならなぬ事が 必ずある。」

柱文
「関のため奔走する慎太郎…」
「恐るべき金脈!!」


関さんが奥さんと共に夢見た「日本の航空事業の将来を担う壮大な事業の構想」の立案。あの実現の為に必要な金額、200万円をゲットする為、慎太郎が交渉した実業家達20名の所を一件一件回って、事業の説明をしに行くことになりました。


ところが、慎太郎が掛け合った事前の交渉では、関さんの立案に好印象を持っていたはずの実業家の皆さんが、実際に説明に訪れると、どいつもこいつも手のひらを返したかのように冷たい態度を取ります。マトモに話を聞いてくれるだけでもまだマシなほうで、アポイントメントを反故したり、関さんにつばを吐きかけたりと、もう踏んだり蹴ったり。


「一体どういう事なんだZE…?」と、実業家達の態度の豹変振りに頭を悩ませる慎太郎達ですが、関さんの使用人(実は新(新便器)のスパイ)である倉田さん「ふふふ…残念でしたなお二人さん!」と表情一つ変えずにほざいているので、100%新便器の仕業でしょう。恐るべし。






しかし倉田さんのこのツラ、見れば見るほど、いっこく堂の腹話術の人形・ジョージくんにしか見えなくて笑えます。
表情まったく変わらないから、余計にwwww



 結局金策の当てにしてた実業家20人に嫌われて「もうだめだぁ…おしまいだぁ…!」と、どっかのM字ハゲ王子みたいなことを言い出す関さん。挙句の果てには「私を担ぎ出すための慎太郎様の嘘だったのですね」慎太郎に逆ギレする始末です。


しかし心の底では諦めたくない…しかしこれ以上はもう…!!するとそこへ颯爽と新便器が登場。合図をすると、倉田さんが部屋に台車で何やらでっかいモノを持ち込んできましたよ…?






新「さあ手に取るがよい!これで幾らと?二百万だ!」


持ち込まれたのは…なんと大量の1円札(200万枚)!!
関さんにとっては、喉から手が出るほど欲しい大金が、今まさに目の前に!!
なお、モチロン大量の札束は、言わずもがな全部コピーです。
井上先生のコピーテクニックの真骨頂が如何無く発揮されております。まさに匠の技。


って、あれ?似たような場面をどっかで見たような…。




そう。かつて「夜王」にも似たような展開がありました。300万円の売り掛けを背負って金策に駆け回るも、全く見つからずに苦労する遼介に対して、聖也さんが300万円の札束をポーンと出して「受け取れYO!」と迫るシーン。(夜王コミックス第2巻に収録されています)


ライバルを助けてあげるなんて、なんて優しいんだ聖也さん!と読者に思わせておきながら、その裏では、恩を与えて貸しを作ることで、遼介が聖也さんに一生頭が上がらないように陥れるのが目的…という、聖也さんの狡猾な一面が垣間見れるシーンです。
少なくとも製作者サイドでは、そういう風に見せようとしてるわけです。


ところが、聖也さんが用意した現金を、よーく見ると…?





紙幣番号が全部一緒wwwww


紙幣には「紙幣番号」と呼ばれるものがあって、一枚一枚お札に振られている番号が異なります。*1


紙幣番号が全部一緒ということは、このお札は「ニセ札」という事になってしまいます。


つまり「聖也さんはニセ札で遼介を騙そうとしている」事に…!!
これでは聖也さんがただの姑息な卑怯者になってしまう…!!


なんと言う事でしょう!井上先生のコピーテクニックが、製作者の意図に反した、予想外の解釈を生み出してしまったのです。これぞまさに、コピーが生み出した思わぬ副作用。



そして話を今週の「華と修羅」に戻しましょう。
新便器が用意した大量の1円札をよーく見てみると…?






やっぱり全部番号が一緒だwwww


ご丁寧に用意した札束が、全部ニセ札!!汚いなさすが便器きたない!!
仮にこれが全部ニセ札だとすると、ラストのページの煽り文「恐るべき金脈!!」ってフレーズが、「金脈って言うか、全部ニセ札じゃねえかYO!」と、もの凄く白々しく聞こえるから笑えます。


もっとも、大正時代に、これだけ膨大な量のニセ札を作るのは、別の意味で大変でしょうけど(w




まあ、新便器が用意した金が、本物かニセ札かはともかくとして、今回のケースで金が欲しいのは、慎太郎ではなく関さんのほう。関さんの立場でチェス版をひっくり返すならば、夢の実現のためには金さえ手に入れればOKなのですから、ここは素直に新便器の行為に甘えるという手もアリです。
むしろ慎太郎のほうから「漏れの事はいいからあの金貰って夢を叶えちゃいなYO!」と勧めてしまうのかもしれません。



果たして関さんは金(1円札のコピー200万枚)を受取ってしまうのか?


個人的には金を受取ろうとした関さんが、ニセ札だと気付いて「てめーニセ札持ってくんじゃねーよウオオーッッ!!」新便器をブン殴ったら神展開なんですが。まあとにかく、次週へつづく。




【おまけ】


倉田さんが運んできた札束。一体どれぐらいの重量があるのでしょうか?

> お札の重さはどのくらいですか?
> お札は、紙ということもあり、正確に何グラムとは言えませんが、1枚約1グラムになります。


「国立印刷局」より抜粋

つまり、1円札200万枚を重さに換算すると

2000000グラム=2000kg=2トン


なん…だと…?


台車を使ってるとはいえ、2トンもの重量があるブツを、軽々と運ぶとか、倉田さんどんだけ怪力なんだwwww







また、こちらの記事によると、格闘家のジミー・アンブリッツ「1トンのトラックを押すのはトレーニングの一部。100メートル押しを10セット、週4でやっている」と言っています。


しかし倉田さんは2トンの札束を台車で部屋に運んでいるのです。しかもスーツ姿のまま、涼しい顔で平然と!!


きっとスーツを脱ぐと、筋肉の肉ダルマ状態になった倉田さんのガチムチ姿が…((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


おわかりいただけただろうか。
つまり倉田さんは、怪力と言われるプロ格闘家のさらに2倍の怪力だったのです!!


しっかし慎太郎といい、倉田さんといい、格闘マンガでもないのに、肉体が強靭的なヤツらが多すぎだwwww

*1:正確に言うと、振り分けられる番号が無くなると、インクの色を変えて同じ番号を割り振るので、一概には言い切れないのですが。