(20090129)今週の夜王 第287話 「涙の拳」

 オーナーからロミオ2号店の店長を要請された遼介は、2号店の場所を大阪ミナミでやりたいと宣言。一緒に修さんも大阪に行く事となりますが、その大阪では今までのように上手くはいかず、挙句の果てには修さんが修派立ち上げを宣言し、まさかの反逆。
 そんな中、修派のホストの勇司(金髪修さん)の愛車が何者かに「3流ホストのくるま」などと落書きされる事件が発生。
 誰もがヒデとカズの仕業かと疑って仕方ない空気が流れていますが、実はミスリードで、犯人は修派のホスト・剣星(影薄いホスト)の仕業でした。しかしブチ切れた金髪修さんたちが店内でヒデとカズにペンキをぶっかけようとした瞬間…遼介が二人をかばって、変わりにペンキまみれに!!しかし顔はまったく汚れていない、さすがラッキーマンだ(w



「……哀しいよ俺は…仲間内でいがみ合うなんて…
スーツはホストの正装だ、仲間の物でも大切にしなきゃ…」


 遼介の表情は怒るわけでも無く、ただただ哀しい表情。
 しばらくあっけに取られる周りのホスト達ですが、ハッと我に返ったヒデが「車のスプレーの色と俺達に吹きかけたスプレーって、色が一緒じゃね?」と指摘した事がキッカケで、あっさり真犯人が剣星だとバレてしまいました。おいおい展開早っ。


 しかしこの一連のシーン、何だか妙な違和感がありような気がします。ここで振り返ってみましょう。

(1)金髪修さん達、ヒデとカズにスプレーをかける。
(2)金髪修さん達、今度はヒデとカズにペンキをぶっかけようとする。
(3)遼介、ヒデとカズの前に立ちはだかり、かわりにペンキを被る。「哀しいよ俺は…」
(4)我に返ったヒデが車にかけられたスプレーと、自分達にかけられたスプレーの色が一緒だと指摘する。
(5)…いろいろあって剣星が犯人だとバレる。


 こうして振り返ってみると…アレ?(3)番だけ妙に不自然です。
 ぶっちゃけ、遼介がわざわざヒデとカズをかばってペンキを被るのって、必要性無くね?
 普通にペンキぶっかける前に「やめろおっ!!」って止めたとしても、普通にストーリーは進みそうな感じですし…。何だかコレじゃ遼介が当たり屋みたいだ(w



 金髪修さんに「お前が騒ぎに関ってんのか(゚Д゚)ゴルァ!」と詰問されて追い詰められた剣星は突然トンズラ。
 結局真相は分からずじまいですが、ひとまず犯人はわかったので、遼介達は修さんとタクマに「犯人は剣星だYO!」と報告。
 修さんは「何て事だ…!!」とショックを隠し切れませんが、金髪修さんがヒデとカズに疑った事を謝り、ふたりがそれを許した事で、とりあえず騒動は収まりました。

 よーしコレで今回の件は終わりにしようと、遼介はまとめに入ろうとしますが、ここでいきなり修さんから「ちょっと待った!」コールが!!


「これで終わりに出来るわけねえだろう!
派閥のトップとして、今回の不祥事を不問にされんのは困るんだよ!
このままじゃ俺自身が下の者に示しがつかねえんだよ!」


 そして修さんは、自分の派閥から一連の騒動の犯人(剣星)を出した事へのペナルティとして、突然「おれはロミオをやめるぞ!ジョジョ――――ッ!!」などと言い出したから、さあ大変。

 もちろん遼介も、修派のホスト…っていうか、ロミオ大阪店のホスト全員、誰もそんな事など望んじゃいません。すると修さんは代案として…。


「…なら俺を殴れ!!
それでチャラにしようじゃねえか
これは俺のケジメだ…俺を殴るかクビにするか…二つに一つだ遼介!!」



ええ―――っ!?いきなり何言い出すんだよ修さん!!


 おそらくほとんどの読者が突然の超展開にお口をアングリとしたのではないかと思われるのですが、そんな読者の動揺など無視するかのように、超展開は進行してゆくのです。


 しかも修さんは(遼介が手加減したと判断したら)「その時はスッパリと辞めさせて貰う!」と、遼介にガチ殴りを要求!!おまけに修さんの眼差しはド真剣モードそのもの。
 この様子だと、下手すりゃホントに辞めちゃいそうな雰囲気なので、遼介は仕方無く「ムオッ!」と修さんのボディをブン殴ります。


 顔では無く敢えてボディを殴るのは「ホストは顔が命だから、いかなる理由があっても顔面を傷つけてはいけない」という、いわゆる“夜王ルール”に則ったモノですからまあ良いとして、遼介の殴る時の叫びが、いつもの「ウオオォーッ!!」ではないのは、修さんを殴るという罪悪感から、非情になり切れない遼介の中途半端さが感じ取れます。


 ボディへの一撃の後、罪悪感からついつい「しゅ、修さんすいません!」と謝ってしまう遼介ですが…。



「……何だこの気の抜けた拳は!
これで誰が納得するよ…
お前はそんなに俺を辞めさせてえのか!!」



 カンの良い方ならお分かりでしょう。修さんは遼介に“何か”を伝えるために、敢えて自ら殴られる役を買って出ているのです。


 そしてそんな修さんの決意を理解した遼介は、心を鬼にして、毒を飲み、涙を流しながら、頼れる先輩ホストのボディを殴り続けます…。



(そうだ遼介…甘さを捨てろ!
俺をとことん殴るんだ…それが出来ればお前は…
遼介、この大阪の地で俺は…
お前を必ず勝たせてやる…
だから、もっともっと俺を殴れ!!)






うーん。いつもの夜王レビュー的には、ここで

「おいおいこのシーンの遼介の構えといいツラといい、完璧に殺る気満々じゃんかwww」


「なんかパンチの軌道が糸ひいてて凄い事になってるよ井上先生!!」


「これ北斗百列拳じゃん!北斗神拳ならぬ、ホスト神拳かよwww」


とか突っ込むべきなのでしょうけど。

 悲しいかな。こういう熱い熱い展開は本当に大好きなんですよ、個人的に。

 笑いよりもついつい熱いものが込み上げてしまうんですね。


 この光景を見ているホスト達が涙流して「俺達が馬鹿だった…俺達がこの二人を争わせてしまったんだ!!」と反省するシーンで、ついグッと来てしまうのです。


もうね。普通に熱すぎて感動してしまいました。


なんというか超が100個つくぐらいに修さんがカッコ良過ぎる。
股間はビチョ濡れを通り越してもう大洪水よ!!って勢いです。


 そしてこの瞬間、ダンディや肉便器を追い越して、修さんが夜王NO.1 ツンデレヒロインに輝いたと言っても過言じゃないでしょう。
まあ、ツンデレにしたって…「凄ェ!体張りすぎだよ修さん!!」と叫ばずにはいられませんが(w


もっとも、ホスト百列拳を受けてブッ倒れた修さんが、ホスト達に介抱されてる時の表情が「ああ…次はションベンだ」の阿部さんみたいな安らかな表情だったのには、盛大に笑わせていただきました。



 そして最後に、ヴィクセスの「数馬」(かずま)とかいう、剣星を影で操っていた一連の騒動を引き起こした黒幕っぽい人がチョコっと出て来てますけど…。

 まあどうせコイツはあと10週ぐらいしたら、遼介か直夜あたりに「ウオオォーッ!!」されるだろうから、別にどうでもいいや(′・ω・`)