デトロイト・メタル・シティ TRACK42「SATANIC EMPEROR.11」


 音楽の力を利用して、意図的に犯罪を誘発させているとさえ言われている、ノルウェーのメタルバンド・ヘルヴェタ。そして日本で猟奇的魅力により狂信的なファンを集めるDMC。その2つの悪魔がついに同じステージに立つ時がやってきた!!
 そして対バン中、突然ヘルヴェタのボーカル・シャーセが、クラウザーさんの素顔を引っぺがそうとしますが、現れたのは自分とそっくりなゴボウ男。場内は「クッペルラウザー(ドッペルゲンガー)現象だー!!」と、騒然に。
 正体もバレていないので、引導を渡すべく、シャーセのオシャレポップを歌いだす根岸。しかし悲しいかな、根岸のオシャレポップはヘルヴェタファンにもDMC信者にも受け入れられず…勝利を目前にしながらもトドメをさせず、あまりにも残酷すぎる現実を前に、根岸は思わず敵前逃亡しちゃうのでした。



 クラウザーさんが敵前逃亡して騒然とする場内。ジャギ様は普通にトランプ使ったパフォーマンスやってますが、焼け石に水だし、カミュさんは勝負そっちのけで、監禁してる相手に携帯で電話かけてます。


 しかし冷静になって考えると、ステージ上で平然とケータイで私的な会話してる奴が2人もいるバントっていうのは…いろんな意味でハジけ過ぎだと思います。



 そんな中、シャーセはクラウザーさんが置いて行った“悪魔のギター”を手にして、早くも勝利宣言。
 一方の根岸は楽屋のすみっこで完全に自信喪失。ケニーに「はやくフェスをシメちゃってください」などと言い出す始末。この軟弱者めが!!


「僕はもう自信を失いました…
ケニーさんには分からないだろうけど
僕は今夢までも打ち砕かれたんだ…
大袈裟だって言われるかもしれないけど…
僕の音楽で世界が一つになればいいなって思ってた…」


 みんなで手をつないで、ラブ&ピース…。これが根岸の思想。

 でもこれを聞いたケニーは「この俺様が世界を支配する」という意味で「世界が一つになればいい」のだと勘違い
 自らの父、ジャック・イル・ダークの名曲「ファッキンガム宮殿」を根岸に聞かせるのでした。

ファッキンガム宮殿
作詞:ジャック・イル・ダーク


「ファック ファック ファック
ファッキンガムファ―――ック
ファック ファック ファック 
ファッキンガム宮殿で 女王をファ―――ック」


 うわー、やっぱり名曲だぜ「ファッキンガム宮殿」!!まるで女王とファックしてる気分だぜー!!
というか、これを幼い頃から聞いていたというケニーっていったい…。



 その頃ステージ上では、DMC信者の1人、ラーメンマン風の男が、シャーセから悪魔のギターを奪ってトンズラしだします。


クラウザーさんが戻るまで、ギターは俺達が守るんだぁ!!」


 そうはさせじとヘルヴェタファンがラーメンマンを追っかけます。ラーメンマンの体力が限界に達すると、同じくDMC信者のバッファローマン風の人へバトンタッチ!!おお、なにげに2千万パワーズだ。



 途中、バッファローマンがギターを落としちゃいますが、そのままレースは続行。DMC信者のアンカーはレッド。そして相手のロン毛パツキン兄ちゃんは、正月の大学駅伝で他校の選手をゴボウ抜きするほどの実力の持ち主。

 しかしそんな実力者相手でもレッドは突き放す!!見事先頭でゴールを割りました。


DMCがヘルヴェタを下したー」
「俺たちの勝利をクラウザーさんに捧げるんだー」


 プロボクサーよりも強く、駅伝ランナーよりも速い…。
 さすがレッド、ダテに着ぐるみ入ってないぜ!!


 なお、バッファローマンが落としたギターは完全に忘れ去られて、なんかもう踏まれちゃってました。
 こんなのジャックが見たら(′・ω・`)ショボーンですよ。




 一方、ジャックの「ファッキンガム宮殿」を聞いていた根岸は…なぜか一心不乱に墨を刷り始めます。


(こんな音楽のどこがいいって言うんだ!!
何が最高傑作だ!!
こんな音楽(メタル)を好きな、ポップスのポの字も知らねえ奴等が、
俺の音楽を否定しやがった……)


 根岸は自分の音楽を「お遊戯的なんだよ!」などと否定したファンたちへの怒りを込めて、墨を刷り続けます。
徐々に豹変する根岸に、ケニーはちょっと驚き気味。


(たしかに奴等に分かる程、俺の音楽は安物じゃねぇ!!
だが、俺の音楽を否定したというコトは
俺を応援している相川や佐治…
下北や代官山の奴等を否定したコトになる)


 まあ、下北や代官山の人たちは、根岸の音楽を応援なんかしちゃいないんですがね(w

 また、回想に出てくるオシャレ四天王の1人、アサトさんが


「キミの音楽に出会うまで、ポップスなんてお遊戯事だと思ってたよ!!」
「キミの音楽に出会うまでは、世界平和などお遊戯事だと思ってたよ!!」


 などと、現実とは180度違う事を言っている所が非情に笑えます。
 逆に言えば、アサトさんはソレだけ根岸にとってのトラウマになっている、ということか(w


(俺の音楽に憧れ音楽で
世界は一つになると信じているノー天気な奴ら…
都合のいい時だけスリよりやがって…
適当なコト言ってんじゃねえ!!
オレの何が分かってるというんだ

メタルの目の字も知らねえブタ共が!!)


 いつの間にやら怒りの矛先が、相川さん達オシャレな人たちに向かっちゃってます。
 さすが根岸、メタルモンスターだぜ。


 そして出来上がった墨を筆に付け、「殺」という字を書き上げたクラウザーさんは、ケニーに「俺の本物のファックをあの世にいるジャックに賛美歌として送ってやろう!!」と言い残して、部屋を出て行くのでした。


 勝手に殺されてるジャック(´・ω・) カワイソス。



 そしてステージ。勝利宣言をしたシャーセが斧を思って暴れだし、ファンが放った炎がステージ近くにまで迫り、ファンが暴徒と化してます。
 そんな中、シャッチョさんはある気配を感じ取ってました。


「この殺気……来る!!」


 次の瞬間、燃え盛る炎の中から「ファ――――――ック!!」という雄叫びが!!
 炎の中から誰かが向かってきます。その男の出現に、誰もが驚きの表情を見せています。


「お、おい見ろ!!」
「ま、まさかアレは」
「うおおお、あの“殺”の書体は…」


「アレは…アレは帰って来たクラウザーさんだぁ!!」




 現れたのは、顔に超特大の「殺」が書かれたクラウザーさん!!


 それにしてもシャッチョさんの「この殺気……来る!!」からの流れるような、クラウザーさんの登場の仕方がカッコ良過ぎです。熱くて死ぬぜー!!って勢いで、もうビチョ濡れだわ!!


 そしてクラウザーさん再臨に感涙しているレッドが、その辺に落っこちてたジャックのギターをクラウザーさんに手渡したところで、次号、ついにフェス完結!!



若杉公徳先生の巻末コメント
「えりちん先生お疲れ様でした」



おまけ。
改造マリオをプレイ中の外国人プレイヤー。


 ファックを連呼しているところが実に素晴らしいですね。
 是非ともこの人に「ファッキンガム宮殿」を歌っていただきたいなあ。