デトロイト・メタル・シティ TRACK27「PATISSIER」


 来日したジャック・イル・ダークの娘・ケニーから、闇で活躍する凶悪なメタルバンドを集めて、開催される「サタニックエンペラー」へ出場するように要請されたクラウザーさん。出る気はまったくなかったんですが、緑のパスタソースが契約書にかかってしまったのを「血の契約」とケニーが勘違い。こうしてDMCの「サタニックエンペラー」参戦が正式決定しちゃいましたとさ。



 その数日後、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿・根岸の元に相川さんからある吉報が届きます。相川さんが編集をしているウォシャレな音楽雑誌「アモーレアム−ル」主催の新人ミュージシャン発掘オーディションに出てみないかというお誘いでした。

 レコード会社の人の目に止まれば、デビューもできる…。根岸はその話に運命的なものを感じ、数日後、ギターを持って下北沢へとやってきました。


 なんとかしてこのチャンスをモノにして、DMCを辞めないと、恐ろしいフェスに出ないといけなくなる…。意気込んでいる根岸に、ある人物が声をかけてきました。


「アレ…根岸…先輩?
やっぱりそうだ、根岸先輩!!根岸先輩だぁ」


その人物とは、根岸の大学時代の後輩にして、おしゃれポップバンドテトラポット・メロン・ティ」の佐治くんでした。

 佐治くんは根岸の音楽に共感し、今でも尊敬しているのですが、クラウザーさんはそんな彼に対して、タンバリンをレイプするなどやりたい放題にしてしまっていました。



 そんな手前、根岸は佐治くんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、幸い佐治くんは目の前のゴボウ男がクラウザーさんだとは知りません。久々の再会を喜ぶふたり。そして根岸は根岸で「テトラポット・メロン・ティ」の曲が大好きで、今度発売されるらしいアルバムを楽しみにしていたのですが…。
 しかし佐治くんの口からテトラポット・メロン・ティ」が解散したこと、そしてその原因が、音楽番組でDMCに暴力を振るわれたから…と聞かされて、根岸は大ショック。


(僕のせいだ、僕があんないいバンドを終わりにしてしまったんだ!!
僕が佐治くんの未来をも奪ったんだ……)


 佐治君に対する罪悪感でイッパイになってしまった根岸は、佐治くんに「一緒に音楽をやらないかい?」と誘います。

 それは、佐治くんに対する罪悪感から…というよりも、根岸自身が純粋に後輩の佐治くんと音楽がやりたかったから、という気持ちがあったから。

 佐治くんは「僕、ずっと根岸先輩と音楽がやりたかったんです!!」と、根岸の申し出を快く快諾。こうしてふたりはオーディションに向けて練習したり、アイディアを出し合ったりします。ふたりでパティシエっぽい帽子をかぶったり、演奏中にケーキを作ろうとしたり…。根岸は佐治くんのためにハーモニカまで買ってきます。


「ハーモニカは女の子にフレンチキスをするつもりで吹くんだよ」



 準備は整いました。根岸と佐治くんの新ユニット「ホイップ・ラブ・クリームス」が下北沢の路上で始動します。


「ホイップ・ラブ・クリーム」
作詞・作曲: 根岸&佐治


アワたてたーい キミへの想い
アワたてたーい キミとの未来

僕ら恋のパティシエ
きっと美味しいケーキにしちゃうのさ――

ほっぺにホイップ・ラブ・クリームつけてさぁ――

アワたてたーい アワたてたーい


 しかしせっかくの演奏も、既に下北で名が知られ、実績もある佐治くんは評価されているのですが、肝心の根岸の評価がサッパリです。「キモい」「歌い方がヘン」「サジくんの邪魔」だと、あまりにも厳しすぎる批評が演奏する根岸の耳に飛び込んできます。

 しまいには「アンタ、佐治くんの足ひっぱってんのよ」と、心ない聴衆から生卵を顔に投げつけられる始末。根岸一人、完全にアウェーです。


 しかしそんなところに相川さんが駆けつけてくれました。「相川さんだけはいつも僕のファン…」と胸をなでおろしたのもつかの間、相川さんと佐治くんとのトークが弾み、根岸ひとり置いてけぼり状態に。いったまれなくなった根岸はだまって家に帰っちまうのでした。


(うう、相川さんはずっと僕のことを応援してくれたじゃないか…
佐治くんは大学のころ、僕に憧れて音楽をはじめたハズなのに

今じゃ相川さんや下北のファンまでもオレから奪いやがった)


完全に嫉妬しちゃってます。そんなところに相川さんから電話がかかってきますが、内容は佐治くんの事ばかり。話を聞いているうちに、根岸の暗黒面が首をもたげてきましたよ。


「このアバズレ…
代官山オシャレファックきめやがったな!!」






 そしてオーディション当日。佐治くんは控え室で根岸を待っていますが、一向に現れる気配なし。かわりに姿を見せたのは…。








はい。クラウザーさんでした。


パティシエ帽かぶってホイップクリームのボウルを持ったクラウザーさんがオチャメですねー♪


それでも佐治くんは根岸先輩が来るまで僕が頑張らなきゃ…とひとり頑張るのですが、クラウザーさんは、ハーモニカをクンニしたりと大暴れ。


「ハーモニカはメスをクンニする感じと言っただろうがぁ」



タンバリンはレイプ。ハーモニカはクンニ。

これが悪魔的オシャレポップ楽器の演奏だー!!



「クソ共、聴け!!これが魔王のデスメタルだぁ
これが帝王のギタープレイだぁ〜」


 もう完全にやりたい放題。佐治くんはまたしてもクラウザーさんによってひどい目にあってしまうのでした。
ここで見かねた相川さんが「ここはそんな下品な音楽をする場所じゃないわっ」と異を唱えますが、クラウザーさんはホイップクリームをかき混ぜながら…。


「なんだと、下品は貴様だ
この顔射用女めが!!」



クラウザーさんにホイップクリームを顔射させられてしまいました・゚・(ノД‘)・゚・



その夜、相川さんと佐治くんにひどい事をして自己嫌悪に陥っている根岸ですが、クラウザーII世としての役割はきっちり果たしたのでした。


つーか佐治くんあまりにも(´・ω・) カワイソス。



若杉公徳先生の巻末コメント
大分県の女とはほぼやってます。」