デトロイト・メタル・シティ TRACK24「HIP HOP.2」

 DMCライブ終了後立ち寄ったファミレスで、クラウザーさんの世を忍ぶ仮の姿・根岸は、小学生時代に親友だった木林くんとばったり再会。しかし今の彼はDMCと抗争を繰り広げている、史上最凶ラッパー・「鬼刃」(きば)でした。すっかり変わってしまったかつての親友に、驚愕の根岸。

 そんな鬼刃率いる鬼刃クルーたちが、DMC信者と路上で一種触発の状態に。クラウザーさん(生首)は騒ぎを沈めるため、鬼刃でステージ上での決着を宣言。鬼刃はDMCのライブを襲撃するために、渋谷のクラブEに鬼刃クルーを集めさせるのでした。


 …そして次の日。昔の親友、木林くんの暴走を止めるため、根岸はクラブEへと足を運びます。


(今はあんなに強がってワルぶってるけど…
小さいころの優しい木林くんに戻ってもらいたい…)


 根岸はクラウザーさんとして鬼刃(木林くん)と話をして、この不毛な争いをやめさせること。そして更正を願ったわけです。


 しかし…根岸がクラブE店内に入ると…。

 すでにDMC信者と鬼刃クルーが大乱闘を起こしちゃってました。
根岸の淡い願い、早くも撃沈。

 乱闘シーンをよーく見ると、ラーメンマンっぽい人が暴れてたり、レッドがキン肉バスターをかけてたりするところが、ステキ。



 騒ぎを沈めるため、根岸は人影でクラウザーさんに変身。慌てて着替えたので、首が鎧から出てこなくて首なし状態になってしまったり、突然ブラックライト状態になったところで首を出したので、生首上体でプカプカ浮かんだように見えたりと、観客達には大好評。



 そして、ついにステージ上に並び立った、クラウザーさんと鬼刃。

 鬼刃は早速得意の「フリースタイルバトル」で、ラップ口調でクラウザーさんをディスって(罵ること)口撃します。


「オマエの着ぐるみ オレが剥がす見ぐるみ
悪魔の正体は会社ぐるみ 作られたただのぬいぐるみ
オレはニューヨーク帰り 本物のラッパー
オマエ入浴終り メイク取れる偽者ファッカー」


 クラウザーさんにとっては、ラップはただのダジャレにしか感じられないのですが、マイクを渡されたので、見よう見まねで反撃します。


「貴様、犬飼出身のクセに
ニューヨーク出身などと見栄を張るのは
情けないんじゃないか ジャマイカ スルメイカ
実家のうなぎ屋が潰れて 引っ越すことになった時
もらった犬飼Tシャツのありがたみ
忘れたか レンタカー 加藤鷹
毎年行った どんこ釣り大会
覚えておるか イルカ アシカ」



「うお〜 出たあ〜
クラウザーさんのデスラップ 魔界の韻仕様〜」


「どんこ釣りってなんだー
新しい処刑の1つか―――」


 捨てたはずの己の過去のことを、ずけずけとクラウザーさんにディスられて、鬼刃は何も言い返せなくなってしまいました。クラウザーさんの圧勝です。

 ちなみに「どんこ釣り」ってのは、犬飼で5月に行われる、どんこ(魚)を釣る大会です(w


 続いて、勝負の流れはダミ声ラップとデス声メタルで、汚い言葉で互いを罵りあう展開に。



 互いに譲らないふたり。しかしここで鬼刃が「ワイロ」「裏金」「脱税」と、社会的に汚い言葉で罵りだし、知的なところを見せると、突然クラウザーさんが黙ってしまい、付いてこられなくなってしまいました。


 このまま、クラウザーさんは負けてしまうのか………!?


























「ま●こ―――」



「うお〜〜〜、クラウザーさんがやってくれたー」

「出たぁ〜〜〜 コレより汚ねぇモノはねぇ〜〜」 


 まさかの問題発言で、観客は沸きあがります。これもまたクラウザーさんの圧勝です。


 なお、「●」の中にどんな言葉が入るのか、などといやらしい想像をしてはいけないのですよ。にぱ〜☆




 さらに勢いに乗ったクラウザーさんは、DJの機械に愛撫!!



「ハッハー、前戯でイッちまうのかぁ
淫乱DJ機械めがー」


 加藤鷹並みの激しいフィンガーテクニックを見せながら、レコードを舐めようとするクラウザーさんのいやらしい表情が最高です。



 全てにおいて自分を上回るパフォーマンスを見せるクラウザーさん「ダメだ…こいつイカれてる…」と、鬼牙は敗北感をあらわにします。

 しかし同時に、ある事に気づくのです。


「さっきのフリースタイルバトルの時、ふと思った…
クラウザーII世の正体は、ねぎっちょじゃないかって………

ねぎっちょ…間違った大人になりそうだったオレを、救ってくれたんだね…」


 その「ねぎっちょ」ことクラウザーさんは、ターンテーブルを激しくクンニしだして、もうやりたい放題なのですが(w


 結果的に根岸の想いは、木林くんに通じたようです。

 鬼刃はグラサンを外し、来ていた上着を脱ぎながら、クラウザーさんに訴えかけます。


「オイ、聞いてくれ
オレはこの世界でトップを取るため、必死だった…
過去を葬り、ニューヨーク出身だと嘘をついた…
でも忘れたワケじゃなかったんだ…」



犬飼Tシャツ!!


 これは木林くんが東京に引っ越すことになった時、根岸たちクラスのみんなでプレゼントをした、思い出の一品です。

 鬼牙は…いや、木林くんは、あの日の輝かしい思い出を決して忘れてなんかいなかったのです。 

泣けるぜ!!


 きっとクラウザーさんは、鬼牙がこのTシャツを大事にしてくれていたことに感激して

 幼き頃の楽しかった日々を懐かしむように、鬼牙と熱い抱擁を見せるに違……































ええーーーっ!?


やっちゃったよ!!クラウザーさんまたやっちゃったよ!!


 思い出の犬飼Tシャツを引き千切った、ねぎっちょことクラウザーさんは、そのまま鬼刃のお尻を激しくスパンキング!!


「木林(KIBAYASHI)など
蒲焼き(KABAYAKI)にしてくれるわ〜〜!!」




 スパンキングされている木林くんの、なんとも言えない恍惚の表情がステキです。


 こうしてクラウザーさんは、鬼牙を「スパンキン風林火豚 KABAYAKI風」で蒲焼きにして完勝。


 その後、根岸は自室で、子供の頃のアルバムを眺め、木林くんとの楽しい思い出を振り返りながら


「この頃、まさか木林くんを蒲焼きにするなんて想ってもみなかった…
最低だ…僕は最低だ…」


 と、申し訳ない思いでいっぱいになっちゃうのでした。ちゃんちゃん♪



若杉公徳先生の巻末コメント
「将来的には犬飼町の町長選に立候補したいです。」